4年後の目標は「イクメンメダリスト」と語る水谷選手
リオ五輪で見事、個人銀メダル・団体銅メダルを獲得した男子卓球の水谷隼選手(27才)。現在、首にかかっているのは銅と銀のメダル。ということは、4年後、東京で狙うのは当然…。
「もちろん、ぼくもそう思っています。ただ…」
一度、言葉を切った水谷の目にアスリートとしての火が灯る。
「これまで圧倒的に差のあった、どうやっても崩せないと思っていた中国の分厚い壁が、少しだけ剥がれた感じは確かにあります。でも、そんな簡単なものじゃない。4年あれば、この差はさらに縮まりますよねって言う人もいますが、ぼくに与えられた4年という期間は同じだけ中国選手にもあって。その差が縮まるか、広がるかは、これからのどれだけ頑張れるかにかかっていると思っています」
成田空港に到着直後、マネジャーから見せられた、真っ黒に塗りつぶされたスケジュール表。卓球界のためになるなら、分刻みのスケジュールも、多少の睡眠不足も厭わない。でも…、
「練習時間だけは、きちんと確保しておいてください」
つぶやいた水谷は、車のシートに背中を預け、目をつぶった。
仕事で入ったテレビ東京では、レーシングドライバー、山本尚貴さんとの結婚を発表したばかりの狩野恵里アナに、「おめでとうございます!」と逆祝福される。
クタクタになっているはずだが、なぜ、ここまで頑張れるのか。そのエネルギーの源はどこから来ているのか!?
「メダル獲得を期待されながら、4回戦で敗退したロンドン五輪の後、一度、卓球から離れた時期があって…。何をしても楽しくないし、人生のどん底でした。そこからもう一度這い上がれたのは、結婚して、子供ができたから。ずっと支え続けてくれた妻と、娘の笑顔が、ぼくのエネルギーの源です!」
家族の話になると、もう、水谷の目尻は、下がりっぱなしだ。現在2才の愛娘、茉莉花ちゃんも、4年後は6才。水谷の戦う姿を記憶にとどめておける年齢になる。そこで、最後にもう一度、4年後、東京五輪の意気込みを尋ねてみると。
「海外での試合も多いし、ロシアリーグにも参加しているので、1年の内、娘と会えるのは、3分の1くらい。そのぶん、日本にいるときは積極的に子育てに参加しています。だから…4年後の目標は、イクメンメダリストですね」
冗談でも、ユーモアでもない。水谷は、真顔でこう宣言した。
※女性セブン2016年9月22日号