「今年のような猛暑の年の秋は、花粉の飛散量が多くなる可能性があります。しかもこの先、残暑が続けば、飛散は11月頃まで長期化する恐れがあります」
そう指摘するのは、気象予報士の三ヶ尻知子さんだ。
花粉症といえば、春のイメージが強いが、実は秋にこそ注意が必要だ。その症状は、大和高田市立病院の医師で日本アレルギー学会認定専門医・清益功浩さんによれば、「くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、症状は春と同じです」とのこと。目がつらい、鼻がつまるといったその不調は、秋の花粉症のせいかもしれないのだ。
春の花粉症の原因となるのは、スギやヒノキなど樹木の花粉だが、秋の場合は雑草だ。キク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラなどの花粉がやっかいを引き起こす。
また、春に花粉症になる人はつらい秋になりそうだ。
「今年は残暑も厳しいとみられますが、こういう年は、スギ花粉が秋に飛散することがあるのです。これは、暑さのせいでスギの花が開花することが原因です。春まで待てない花粉が飛んでしまうのです」(三ヶ尻さん)
この時期の花粉症にはどんな手を打つのがいいのだろう。
花粉症は初期の段階で薬をのめば症状を抑えることができる。しかし、これは自分が花粉症だと自覚していなくてはできない予防法だ。秋の花粉症を風邪と勘違いしていると、知らず知らずのうちに重症化する可能性がある。
「細かくなった花粉が肺に入り込み、ぜんそくの症状を引き起こすこともあります。風邪と花粉症の見分け方は、風邪の場合は目がかゆくなることは少なく、花粉症の場合は熱が出ないので、これが一つの目安です。鼻水は風邪の場合は色が濁った粘り気のある鼻水ですが、花粉症の場合は無色でサラサラした鼻水が出る可能性があります。一概にはいえませんが、これも目安となるでしょう。
また、風邪はたいてい1週間程度で治まるので、2週間以上症状が続く場合は、花粉症を疑ったほうがいいと思います」(清益さん)
春の花粉症の人はアレルギー体質のため、秋の花粉症にもなりやすいという。かからないようにするには「とにかく近づかないことです」と言うのは三ヶ尻さんだ。
「スギやヒノキの花粉と違い、秋の花粉は飛散距離が短いという特徴があります。スギは100km近く飛びますが、秋の花粉は100m程度です」
つまり、花粉源から100m以上離れておくことが花粉症を避けるポイントだ。川沿いや堤防、空き地や畑など、雑草の生えているところには近づかない方がいい。
「朝の散歩やジョギングを日課にしている人は特に気をつけてください。秋の花粉は、朝から午前中にかけて飛散する量が多いです」(三ヶ尻さん)
もちろん、外出時にはマスクとめがねを使い、帰宅したら花粉を家の中に入れないように玄関の外で服や髪に付いた花粉を落とす手間を忘れないようにしたい。これから流行する秋の花粉症、まずは自衛で遠ざけよう。
※女性セブン2016年9月22日号