正常な大便をするために大切なのが腸だが、腸の筋肉は平滑筋といって、自分の意志ではなく自律神経によって無意識に動いている。
その平滑筋のなかでも最大なのが腸だ。
小腸は平均して5~7m。この外に、大腸が1.5mほどあり、十二指腸も含めると7~9mにもなる。
消化に時間がかかる穀物を主食としてきた日本人の小腸は長い。一方、消化のいい肉を主食としてきた欧米人は小腸が短い。
「ですから日本人は欧米人に比べて、胴が長い。でも、消化に時間がかかる食事のおかげで腸の筋肉をよく動かす、腸トレを自然と行っていたのです」(理化学研究所・特別招聘研究員の辨野義己さん、以下「」内同)
つまり腸を鍛えるには、消化に時間がかかるものを選ぶことが重要で、それが食物繊維だ。
「食物繊維は人間の消化酵素で消化されない難消化性成分の総称。栄養素ではないけど“第6の栄養素”といわれるほど、腸にとって重要であることが明らかになっています」
食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」がある。
不溶性食物繊維は水に溶けない繊維。水分を吸収して腸を刺激し、排便を促す効果がある。水分不足だと大便が硬くなることがあるので、便秘のときは摂りすぎに注意が必要だ。
不溶性食物繊維が多い食べ物は、可食部100gあたりの乾燥きくらげ57.4g、切り干し大根20.7g、オートミール9.4g、栗6.6g、ライ麦パン5.6g、かぼちゃ2.8g、枝豆5gなど。
水溶性食物繊維は水に溶ける繊維。ぬるぬるしていて、大便をスムーズに出す働きがあり、やせ菌のエサにもなる。
水溶性食物繊維が多い食べ物は、乾燥ひじき43.3g、乾燥わかめ32.7g、らっきょう21.3g、モロヘイヤ5.9g、ごぼう5.7g、しいたけ3.5g、なめこ3.3gなどだ。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の理想的な摂取は、2:1の割合で、1日の摂取目標量は17g。どの食品が不溶性で、どれが水溶性なのかを知って、上手に摂り入れたい。
※女性セブン2016年9月22日号