中国のテレビやラジオ、インターネットなどのメディア監督当局は中国共産党の見解に沿わない報道や番組、作品や西側の生活様式を称賛する内容の社会・娯楽ニュースを規制する方針であることが明らかになった。ロイター通信などが報じた。
特に、大金持ちなどのセレブや俳優や女優らの生活などを面白おかしく報じることは厳しく罰せられるという。中国ではテレビドラマや映画の内容についての規制が強まっており、そのため内容については「全然面白くない」など視聴者から不満が高まっている。
中国国営新華社通信によると、中国国家新聞出版広電総局(SAPPRFT)はこのほど、社会・娯楽ニュースは中国共産党の主流の思想と「前向きなエネルギー」に基づくものでなければならないとの重要通達をテレビ局などの関連部門に通知した。
ニュースの内容は不適切な冗談を交えたり、古典作品の内容を曲解して伝えたり、あるいは「西側の生活様式に対する露骨な称賛を表現する」ものであってはならないとしている。
特に、著名人のゴシップのほか、社会的に成功するにいたる人物描写ストーリーについても、極めてプライベートな部分は報じてはいけないとしている。これらの規定に反すれば、法的な罰せられることもありうるのだとか。
習近平国家主席は共産党指導部の見解を反映しない報道機関に対して異例の取り締まりを断行しており、当局はすでに、「外国に発想を得た」テレビ番組を制限する規則を導入。ソーシャルメディア経由でうわさを流布する行為に対する罰則も強化している。
これに加えて、映画産業の管理も強化されている。全国人民代表大会(全人代=日本では国会にあたる)では現在、海外の映画会社の活動を制限するほか、当局が国家の安全を損なうと判断すれば製作を認めないなどを内容の「映画産業促進法案」の審議が進んでおり、近く成立する見通し。
ロイター通信などによると、映画の規制はテレビ・ラジオなどの報道規制と同じ趣旨で、民主主義など「西側の価値観」が流入するのを厳しく監視する狙いがある。
中国の映画産業は2014年には650億元(約9880億円)規模に急成長しており、秩序の維持や「堕落した文化」が蔓延するのを取り締まる必要があるとして、立法化を急いでいる。これに反すれば、50万元(約760万円)以上の罰金と有期刑が科せられる。
これまでも映画産業を管理する同様の規定はあったが、法律に格上げすることで、「法治」を名目に、共産党一党独裁を思想的に強化するとの思惑が働いているのは間違いない。