複数の犬を飼っているという人も多いが、けんかばかりで困ってしまうというケースも。とある飼い主さんから、こんなお悩みが届いた。
「2才のヨークシャーテリアを飼っているのですが、“一人っ子”じゃ寂しいだろうと、新たな子犬を迎え入れました。ところが、オス同士のせいか、けんかばかり。けがが心配なので仲よくさせたいのですがどうすればいいでしょう?」(千葉県・らんまる・40才・自営業)
しつけ教室・犬の保育園SKYWAN! DOG SCHOOL代表で、家庭犬しつけインストラクター歴は16年の井原亮さんがアドバイスをします。
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犬の多頭飼いは、3~5才離れているのが理想的です。それ以上離れていると、年上の子が若い子の新しい生活パターンに適応できず、体調を崩すことも。逆に年齢が近かったり、同性だとけんかになりやすいといわれています。
■人間は手出し無用! 環境を整えてあげて
先住犬がいる家に新たに犬を招き入れた場合、けんかが起きるのはよくあること。
その際、叱ることも、関係がよくない犬同士を無理に一緒にさせようとすることも厳禁です。犬同士の世界に人間がむやみに介入してはいけません。当の犬たちは、仲よくなることを望んでいなかったり、不慣れながらも少しずつ犬同士の関係を築こうとしているケースもあります。その間に、人間が横やりを入れると、逆効果になることも。
飼い主がすべきことは、仲よくできる環境を作ること。フードトレーや寝床は別々に用意し、それぞれが安心できる居場所を作ってあげましょう。また、えこひいきをせず、飼い主自身も、それぞれの犬との関係性をしっかり築いてください。それぞれの犬が、飼い主との関係を優先させることで、犬たちがお互いに争う相手ではないことを理解し、自然と仲よくなっていきます。
仲よくするかは犬が決めること。飼い主は犬同士より、“自分とそれぞれの犬”との関係を大切にしてください。
■犬と猫の共同生活も可能 ポイントは“社会化期”
一方、犬と猫の共同生活を成功させるためには、お互いの“社会化期”から、一緒に生活させることが大切です。
社会化期とは、経験を記憶し、周りの環境に慣れていく時期で、犬の場合は生後5~6か月、猫は生後2か月です。この時期に、犬や猫と生活を共にし、楽しい経験をしておくと、お互いによい感情を抱いたまま成長できるので、スムーズに共同生活を営めます。
ただし、猫の社会化期は短いため、家に迎える時にはその期間が終わってしまう場合がほとんど。しかし、諦めないでください。犬や猫たちは野生動物とは違い、適応能力に長けた動物です。その能力を生かして、生活しながら慣れていけるはずです。
その際に注意すべきことは、トラウマになるような出来事が起こらないよう、飼い主が環境を整え、注意して見守ってあげること。居場所の住み分けをしてあげたり、仲が悪い時に無理に会わせないなど、恐怖体験をさせないよう、配慮してあげましょう。
※女性セブン2016年9月22日号