山口組分裂から早1年、ヤクザの世界はどうなっているのか。そこで今回、暴力団取材のエキスパートであるライター・鈴木智彦氏が、現役ヤクザ100人に対する大規模アンケートを実施した。アンケートは100人すべてに直接電話して回答をもらった。アンケート結果を紹介しよう。
Q:経済活動(シノギ)は順調ですか?
はい…17人
いいえ…65人
どちらともいえない…12人
ノーコメント…6人
全員が「いいえ」でもおかしくないと思っていたのだが、「過去最高に景気がいい」(在京団体幹部)という若手組長をはじめ、17人ものヤクザが「はい」と答えたのは想定外だった。暴対法や暴力団排除条例の影響もあって、暴力団のシノギを解説する場合、絶不調、最悪と解説するのがセオリーだからである。
「いいえ」の回答を寄せたヤクザたちは、
「もうヤクザでは食えない。八方塞がり。人間関係を食いつぶしているが、いつまで持つかわからん」(広域組織組員)
「低空飛行でずっときたから、特別悪くなったという実感が持てないだけで、景気のいいヤクザなんていない。自分も仕事に行ってます。知り合いの建設会社の社長に頼んで地下足袋を履いてる」(九州独立組織の組長)
などとひどく深刻な表現を使った。客観的に見れば、ヤクザの看板がカネを生んだ時代は終わっており、正しい見解なのだ。
そのあたりを突っ込んで聞いてみたところ、「どの時代でも儲けてるヤツはいる。あちこちからたかられるので隠してるだけ」(神戸山口組系幹部)とのことで納得した。
※週刊ポスト2016年9月16・23日号