女性の出演強要問題など“逆風”が続くアダルトビデオ(AV)業界で、久々のビッグニュースとなったタレント・坂口杏里のAV転身。「誰?」と思う人もいるかもしれないが、女優の坂口良子(故人)の娘だといえば驚く人は多いはず。しかも出演料が「1億円超」と聞けばさらに仰天だ。あるAVメーカー幹部が語る。
「坂口の出演料は1億2000万円と伝えられていますが、彼女の取り分は2000万円程度。この業界で“出演料”とはメーカーから女優の事務所に支払われる総額。一般的に事務所が6、女優が4の割合で分け合うようです」
だとすると坂口が受け取るのは約5000万円のはずだが、丸々が女優のものというわけではないようだ。
「女優の取り分には事務所やメーカーなどに仲介したスカウト関係者らのギャラも含まれる。特に話題作の場合は業界で“大物”と呼ばれる仲介者が関わることも多く、女優のギャラの8割が報酬となることもザラ。坂口に入る金額が2000万円なら、良心的な契約でしょう」(同前)
果たしてこれで採算が取れるものなのか。億単位の出演料は、「かなりの冒険」と前出のメーカー幹部が言う。
「メーカーの収益は売り上げの約40%が相場。坂口のデビュー作は約3000円なので、10万枚以上売れないとペイできない。他に撮影費や監督、男優、スタッフのギャラなどもあるので、この作品だけで大儲けは厳しいのではないか」
しかしそんな状況でも、年間3万5000タイトル以上の「新作」がリリースされ、坂口のような話題作ともなれば大金が動く。多くの有名女優を抱えるAVプロダクション経営者が明かす。
「坂口のような作品はレアケース。10年ほど前は制作費だけで1000万円かける作品もあったが、今では200万円でも高いほうです」
※週刊ポスト2016年9月30日号