長らく日本人の3大死因といわれてきたのが「がん」「心臓病」「脳卒中」だが、近年そこに割って入ってきたのが「肺炎」だ。なぜ増え続けているのか。一体どんな死に方になるのか。
「38~39度の高熱で意識が遠のき、呼吸が重たくなる。“いくら息を吸っても苦しい”という状態が数週間から1か月ほど続くことがあります」(有料老人ホーム「グレイスフル加美西」の武智聖子施設長)
肺炎で亡くなる高齢者の苦しみ方の一例だという。
厚生労働省が9月8日に公表した2015年の人口動態統計(確定数)によれば、肺炎は日本人の死因の第3位に入っている。年間約12万人が亡くなり、死亡総数の9.4%にあたる。
「肺炎」とは基本的に、細菌やウイルスといった病原微生物が肺に入り、炎症を起こした状態を指す。発熱、咳、痰、呼吸困難などを伴うのが特徴だ。
肺炎で亡くなる人の9割以上は75歳以上の高齢者とされ、中でも特に多いのが「誤嚥性肺炎」だ。秋津医院の秋津壽男院長の解説。
「食べ物を飲み込む際の誤嚥(食道ではなく気管に入ってしまうこと)によって引き起こされるタイプの肺炎があります。唾液、胃液などと一緒に細菌やウイルスが肺まで入り込んでしまい、炎症の原因となる。
若い人の場合、気管に異物が入っても咳などで排除する防衛反応がはたらきますが、高齢になると反応が鈍くなって異物が吐き出せなくなるので、誤嚥性肺炎にかかりやすくなります」
※週刊ポスト2016年9月30日号