経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、その週もっとも注目を浴びた著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は築地移転問題で毎日テレビに登場していた、小池都知事を分析。
* * *
小池百合子東京都知事が開けたのは、豊洲に埋められていたパンドラの箱。中から何が飛び出てくるのか…? 連日、メディアはこの話題で持ち切り。誰が、いつ、何のためにと、地下空間ができた深層追求に余念がないが、そもそも小池都知事は、この問題をどう思っているのだろう。
10日の緊急記者会見、豊洲市場の土壌の安全性について、いくぶん陰りのある神妙な面持ちで小池都知事が口火を切った。そうは言うものの、工事を進めてきた誰かの利権やら思惑やらを相手に、どこまで切り込んで調査するのか? 情報公開するつもりなのか?と思った冒頭、「盛り土した部分が情報公開と事実が違う」と言いながら、彼女は、留めていたジャケットのボタンをパッと外した。
その瞬間、都知事は徹底的にやるつもりだ、と思った。
会見でジャケットを着ている場合、ほとんどの人は一番上のボタンを留めている。小池都知事も、演壇に向かった時はボタンを留めていた。それが会見時のルールみたいなものだからだけど、話したくないことがある時や記者に突っ込まれたくない時などは、無意識のうちに自己防衛したいという気持ちが出てくる。だから、謝罪会見や釈明会見では、ジャケットのボタンが全部留められていることも多い。
ボタンを外すという仕草は、腹を割って本音で話すつもりがある、という潜在意識の表れと言われる。納得がいくまで安全性の調査を行い、正しく情報公開していくんだ!という覚悟が、都知事の中にしっかりあるのだ。一瞬の仕草の中に、都知事の腹積もりが見えた気がする。
そんな小池都知事にぶつけられた記者からの質問がよかった。「盛り土代はどうした? 消えちゃった建設費? どこに行ったの建設費?」そうそう、都民はそこを聞きたいはず。
小池都知事の応えは、盛り土台が建設費に「オンされているのか」と左手を胸元でフワッと曖昧に開き、「それとも」とその左手を握った。そして「あまりにも膨らみすぎて」と、またまた左手をフワッと開き、「少し安くあげる努力を」と握りしめたのだ。
これを都知事の言葉と仕草から読み解いてみると、どこまでオンされているのかはまだわからないが、建設費が膨らみすぎたというのも事実なんだろう。だけど、盛り土代はどこかに消えてしまい、誰かが安くあげる努力をしたのだけれど、その事実はどこかで握り潰され消えてしまった…ということだろうか。
で、次の仕草がさらに面白かった。
「安くあげるために変な努力をしちゃったのか…」と言いながら、都知事は苦笑いしながら、両手を顔の高さに上げて指をクイクイと2回ほど曲げたのだ。これは“あの仕草”の変形バージョンではないか。