かつての「反日」ムードは沈静化しているように見える。だが楽観は禁物なのかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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日中関係は決して良いとは言えないものの杭州でのG20サミットでは安倍晋三首相と習近平国家主席の会談が行われ、「両国関係が早期に正常な軌道に戻るよう努力する」との方向性が打ち出された。
だが、9月の中国は歴史問題をめぐって最も日本への風当たりが強まる時期でもある。なかでも満州事変の発端となった「9・18」は、その前後に反日デモが行われることが多かった。
いま尖閣問題や南シナ海問題など日中間に問題が山積しているにもかかわらず、中国国内に「反日」のムードが高まっているかといえば決してそうではない。だが、それでも無くなったわけではないということを感じさせるニュースが9月19日付の『鳳凰ネット』が掲載された。
タイトルは〈夫が「日本のホテルですべて蛇口を開いてやった」とした書き込みに王楠が「いいね」 918を忘れるな〉。つまり日本に行った際、嫌がらせのためにホテルのあらゆる蛇口を開けっぱなしにして出てきたというわけだ。
王楠は、卓球の国際大会で数々のメダルを獲得した卓球女子中国代表のかつての女王。それだけに社会の注目度も高まったようだ。
王楠の夫の書き込みに対し、1日で約1000件の「いいね」が寄せられ、夫の行動を支持する意見も少なかったようだが、一方で「幼稚なことをするな」、「水資源の無駄遣いだ」といった意見もあったという。
今年は満州事変から85年という節目の年に当たる。こんな不毛な騒ぎに、日本が再び巻き込まれるようなことだけは避けたいものだ。