政党機関紙でありながら、与党政治家や一般の新聞社からも一目置かれる「しんぶん赤旗」。その調査力・取材力は想像以上に強力で、これまでも数々のスクープで存在感を示してきた。日刊紙約20万部、日曜版約100万部の機関紙が、朝日や読売などの全国紙をなぜ“抜く”ことができるのか。その答えは、共産党ならではの“諜報網”がカギを握っている。
「しんぶん赤旗」は、共産党の党中央委員会に所属する「赤旗編集局」が制作している。
東京・渋谷区の党本部隣にある編集局には「中央機関紙編集委員会」のもと、政治部、社会部、経済部、外信部、日曜版編集部など21の部がある。一般紙にはない「国民運動部」や「党活動部」もあり、前者は女性、労働、反原発など共産党が取り組む政治運動を、後者は各地の党活動などを取材し報じている。
その他、全国9か所に総・支局があり、中国・北京やベトナム・ハノイ、米国・ワシントンDCなどで活動する海外特派員もいる。
団塊世代の大量退職もあり、かつて400人ほどいたという編集局所属記者は、現在300人程度だという。これとは別に、各都道府県には「専任通信員」が約50人、配置されている。
赤旗は週刊誌やフリーランス記者同様、記者クラブに加盟しておらず、発表情報や官公庁などからのリークを得にくい立場にある(国会や省庁に入れる通行パスはある)。裁判報道では、司法クラブに加盟していないため、傍聴を希望する際は何人もが手分けをし、一般のクジ引きの列に並ぶのだという。反面、そうした取材上の制約があるからこそ、「独自ネタ」を集めるため必死な活動をしているとも言える。
赤旗は「偽装請負」の実態やブラック企業を名指しで追及するなど、数々のスクープを連発してきた。小泉内閣で総理首席秘書官を務めた飯島勲氏は雑誌記事の中で赤旗について「情報を扱っている人間であれば必ず目を通さなくてはいけない重要なメディアの一つだ」と断言している。
では、そうしたスクープはどこから生まれるのか。