政党機関紙でありながら、その調査力・取材力の強力さで数々のスクープを報じてきた「しんぶん赤旗」。その調査能力が発揮されるのは、単に優秀な記者がいるから、という話だけではない。赤旗独自の情報網があるからこそ、政権与党が恐れる数々のスクープが生まれるのだ。
情報網の一角は、全国の「専任通信員」が担う。しかし、彼らはいわば“表”の情報源に過ぎない。
たとえば内部告発に基づく独自ネタは、大企業や官公庁に勤務する党員からもたらされることがある。元共産党員で参議院議員を務めた経歴を持つ筆坂秀世氏は著書『日本共産党』の中で〈日本共産党は、大企業や官公庁のなかにも党組織がある〉と明かし、それらは〈多くの場合、秘匿されている〉と指摘する。
内部告発があるのは企業だけではない。赤旗のOB記者が証言する。
「全国の党組織や党員からの情報には助けられました。大学教授や国家公務員には党員が多く、彼らからネタがもたらされることがあります。
警察官からの内部告発もあります。1970年代には爆発物処理の手当が1回あたり150円という、危険の対価としてはあまりにも安いという趣旨の内部告発を受け、待遇改善を訴える特集を組んだこともあります」
共産党国会議員団秘書の経歴をもつ元共産党員の篠原常一郎氏はこう語る。
「自衛隊からの内部告発もあります。2000年代、国会でも取り上げられた自衛官の自殺問題では、赤旗記者と一緒に現職自衛官と内密に会い、話を聞きました。告発した自衛官は、自衛隊出身議員などに話を上げても断られ、最後に赤旗にたどり着いたようです」
※SAPIO2016年10月号