民進党代表に選ばれた蓮舫氏について、中国や台湾のメディアは好意的に大きく報じている。
北京の地元紙「新京報」は「華裔の女性政治家が日本の最大野党の党首に当選した。父親は中国台湾人だ」と報じ、蓮舫氏の父親が台湾人であることに強い親近感を示した。
「華裔(かえい)」とは中国人を祖先に持つ人たちのことで、中国や台湾などから国外に移住した中国人の子孫を指す。中国籍を保持したままの人を華僑、現地の国籍を得た人を華人と呼ぶこともある。
蓮舫氏は厳密に言えば、「華人」といえそうだが、代表選のさなか、二重国籍問題で騒がれただけに、同紙は「華裔」という表現を使う配慮をみせたともいえそうだ。
さらに、同紙は代表の任期は2019年9月までで、その間、「総選挙で民進党が勝利すれば、蓮舫氏は日本で初めての女性首相に就任するチャンスがあるかもしれない」と伝え、蓮舫氏が「日本初の女性首相」になることに強い期待感を表明している。
台湾では今年3月、民主党に維新の党が合流するなどしてできた党の名前が台湾の与党、民主進歩党の略称である「民進党」と同じだったことから、台湾の民進党幹部が「歓迎」の意を表するなど、日本の民進党に大きな関心を抱いていた。
その最高指導者に台湾人の血を引く蓮舫氏が就任したことで、蓮舫熱が高まっており、台湾メディアは「『台湾の娘』が日本政界のスターに」(中央通信)などと伝えて、おおむね好意的だった。
しかし、中国メディアの報道で気になるのは「安倍政権が憲法改正の意図を持っていることについて、蓮舫氏は『もし改正を議論するのならば、積極的に参加するが、問題をなおざりにして、急に進めるということには慎重に対応したい』などと語っている」として、安倍政権の憲法改正を蓮舫氏がストップさせることに強い期待をにじませたことだ。
これは、日本の憲法改正に強く反対している中国政府の意思の代弁であることは明らかだ。
新京報は蓮舫氏を紹介する際、「1995年から2年間、北京大学に留学。夏休みなどを利用して、四川省や甘粛省、内モンゴル自治区にまで足を伸ばした」と報じており、蓮舫氏の親中派ぶりを強調しているのだが、ネット上では「あまり期待すると、裏切られた時の反動が怖い」など慎重な反応も見られる。