中国・北京の首都国際空港で9月中旬、上海行きの航空便の中国人乗客夫婦が搭乗ゲートの閉鎖後に現れたところ、空港職員から搭乗を拒否された。そうした理由から逆上して半狂乱になり、職員を殴るなどして、ゲート内に入った。夫婦はそのまま滑走路に侵入、駐機していた航空機の下に潜り込むなどして、航空機の出発が遅れるという珍事が発生した。
夫婦は、大きな声で、旅客機に乗せるよう要求したが、警察によって身柄を拘束され、取り調べのため、空港内の警察署で5日間も拘留されたという。中国人乗客による旅客機内などでのマナーの悪さは定評があるが、滑走路に侵入して、旅客機の出発を遅らせたのは例がなく、空港当局は「最悪のケース」とコメントしている。
北京の夕刊紙「北京晩報」によると、この夫婦は買い物や食事などで決められた時間までに出発ゲートに着くことができなかったとみられる。
夫婦は空港係員に暴力をふるうなどして、滑走路エリアに入り込み、結局1時間以上も座り込んで、滑走路を占拠する形となった。
このため、夫婦を排除するため、警官隊が出動する騒ぎとなった。この騒動で、旅客機は1時間以上も出発が遅れた。
夫婦は中国当局が旅行者としては要注意人物であると定めた「ブラックリスト」に入るのは確実で、今後最低でも3年間は旅客機には乗ることができないほか、パック旅行にも参加できないなど、大きな代償を払うことになる。
また、中国では乗客のトラブルが多発していることから、20年ぶりに「民用航空法」を改正し、悪質な乗客には最大で5万元(約85万円)の罰金を科すことなどが決まったばかり。このほか、今年6月には中国国家発展改革委員会と最高人民法院(裁判所)のほか、44の政府機関の合同による「要注意人物」リストが作成され、400万人あまりが旅客機への搭乗を制限されていることが分かっている。
今回の騒動について、ネット上では「中国の恥だ。多くの人に迷惑をかけて犯罪だけに、懲役刑でもおかしくはない」などとの厳しい書き込みもある。