J-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)市場の好調が続いている。とりわけ外国人投資家が積極的にJリートを買っているが、今年の後半は何に注目するべきなのか。アイビー総研代表の関大介氏が解説する。
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Jリート市場での大口の投資家の売買動向は、金融機関(日銀は除く、以下同)、投資信託、外国人投資家で異なる傾向がある。
今年1~6月までの上半期で総額2239億円(月平均373億円)を買い越した外国人投資家に対し、金融機関は今年上半期だけで総額408億円(月平均68億円)の売り越し、投資信託も上半期は総額1170億円(同195億円)の売り越しとなった。金融機関は利益確定に動いたとみられる。個人の資金を裏付けにしている投資信託は、株式市場低迷で個人投資家がJリートの投資信託を売却して利益確定に動いた影響などを受けたと考えられる。
仮に今年後半、外国人投資家による利益確定の動きが強まった場合、外国人投資家の売りを金融機関や投資信託の買いで吸収できないと、Jリート市場は下落に転じる可能性がある。金融機関と投資信託の動きも注視しておきたい。
加えて、海外情勢による短期的な急落にも要注意だ。Jリート市場は株式市場ほどではないが、外国人投資家の売買比率が高く、世界的にリスク回避の動きが強まるとJリートも売られてしまうからだ。
ここで、2016年前半のJリート相場の動きを振り返りたい。東証REIT指数はマイナス金利政策導入決定後から大きく上昇し、4月25日に1970ポイントをつけた。その後、1900台前半~1800台ポイント前半で推移していたが、英国の欧州連合(EU)離脱が国民投票で決まった6月下旬、約4か月半ぶりの安値1729ポイント(同月27日)まで急落した。
ところが、翌日すぐ反発し、6月末には1843ポイントとEU離脱ショック前の水準まで回復した。8月上旬は概ね1850ポイント前後で推移しており、Jリートの平均分配金利回りは3.4%程度を保っている。
英国のEU離脱ショックで一時大きく下げたのは、リスク回避が必要になった外国人投資家の売りが出たからだ。Jリートは上場投資商品である以上、リスク商品として認識される。リスク回避の動きが強まれば、株式同様に売られてしまうのだ。今後も海外情勢の影響で、大きく売られる局面はあるだろう。
とはいえ、今回のEU離脱ショック時のように、瞬間的に価格が崩れても、すぐに落ち着きを取り戻して回復する場合もある。Jリートにこれから投資したいと考える人にとっては、こうした下げ局面は銘柄によっては買いの好機になるだろう。
※マネーポスト2016年秋号