生物たるもの生きていくには水分が必要だ。人間はもちろん、ペットの猫だって同じことだが、愛猫があまり水を飲まないと心配になるケースもある模様。福岡県の主婦・としこさん(37才)がこんな悩みを寄せた。
「うちの猫(3才・♂)はあまり水を飲まず、1日1回飲むか飲まないか…。エサをウエットタイプにするなどして工夫はしていますが、病気にならないか心配です」
そんなお悩みを、国際猫学会ISFM所属、東京都港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」を開院する山本宗伸さんが解決する。
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猫は砂漠で暮らしていたリビアヤマネコを祖先としているため、少量の水でも生きていけます。ただし、あまりに水分不足が続くと尿路結石になったり、脱水による腎臓病を引き起こすなど、病気にかかりやすくなります。
そのため獣医も、「なるべくお水を飲ませるように」など、飼い主にアドバイスをするようにしています。
◆ウエットタイプのフードは水分補給にも
としこさんの対処法は的確です。ドライフードに比べ、ウエットタイプのフードは自然と水分摂取量が増やせるので、水をあまり飲まない猫にはおすすめなんです。
一般的なサイズの猫の場合、1日に必要な水分量は、ドライフードで120~200ミリリットル。ですが、ウエットタイプなら30~50ミリリットルですみます。
また、闘病中で食欲が落ちた時など、特に水分を積極的に摂取してほしい場合は、食事の回数を増やすのも手。実際、食事の回数を増やすと、飲水量が増えるというデータもあるほどです。同じ量のフードを小分けにすれば、その都度、水を飲むので、結果的に飲水量が増えるのです。これは、ウエットタイプに限らず、ドライフードにも同様のことがいえます。
◆水飲み容器は数か所に置き、ガラスや陶器製が◎
そのほか、簡単に取り組める工夫としては、水飲み場の数を増やす、というのがあります。1匹しか飼っていなくても3~4か所には設置しましょう。それも、猫が一日の大半を過ごす場所の周囲に置くことで、さほど喉が渇いていなくても気軽に水を飲んでくれるようになります。この時、水を入れる容器も大切。プラスチックよりも、ガラスや陶器の方が猫に人気があるという研究結果もあります。
また、猫は“流れる水”が好き。流れている水の方が新鮮であることを本能的に知っているのでしょう。ウオーターファウンテンといって、水を循環させる装置があるので、それを用意してあげるのもいいですし、蛇口やシャワーの水を飲ませてあげるのもおすすめです。
さまざまな工夫を組み合わせることで、水分摂取量を増やせるはずです。猫にとって水が飲みやすい環境を、飼い主が整えてあげてください。
※女性セブン2016年10月13日号