2009年6月に野中広務氏、2013年1月に加藤紘一氏、2013年6月に古賀誠氏と、自民党重鎮が日本共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」に次々と登場し話題を集めた。2005年の離党まで共産党No.4として辣腕をふるった筆坂秀世氏(元参議院議員)と、ジャーナリストとして赤旗と関わり、先般の都知事選では共産党と対峙した上杉隆氏が、なぜ彼らが赤旗に登場したのかについて語った。
上杉:敵対関係に見える自民党と共産党は、実はつながりが深い。自民党にとって赤旗は党内派閥や大手メディアと違い、「永遠の敵」で利権が重なりません。自民党関係者が、党内の政敵を蹴落とすため、赤旗に情報を流すこともある。
自共で言えば、近年は野中広務氏ら自民党重鎮が次々と赤旗に登場しました。政治の本質は権力闘争であり、政権を取ることが最大の目的ですが、共産党は現状では絶対に政権を取れないので、真の脅威ではない。だから彼らが赤旗に出て、ガス抜き的に政権批判をしても全然問題にならないんです。
筆坂:自民党の重鎮が登場すると赤旗は妙にはしゃぎますね。でも、もし僕が自民党機関紙に登場したら、赤旗は「裏切り者!」って激しく批判するだろうね(笑)。
上杉:情報網で言えば、組合関係からの内部告発的な情報提供もあるんですか?
筆坂:昔は大企業に勤める党員から情報が流れることもあったけど、今は企業に党員が少なくなったから情報収集能力は落ちています。
上杉:ただし官公庁には、情報網が未だに残っています。都庁なんか共産党の牙城ですから、赤旗でも都知事選を大きく扱っていました。