名古屋、広島、千葉と続く『週刊ポスト』名物企画「○○ぎらい」シリーズの第4弾は「横浜ぎらい」である。「えっ? 横浜が嫌われている? 憧れのおしゃれスポットが?」と訝る読者もいるかもしれない。
確かに、横浜はセンスあふれる街並みと落ち着いた住環境を兼ね備えた、全国屈指のブランド価値を持つ都市だろう。だが、本家の『京都ぎらい』(井上章一著)がブランド力を盾にした「京都のいやらしさ」を指摘したように、横浜が嫌われる理由もまた、「私たち、ハマっ子ですから」という“選民意識”にある。
そもそもハマっ子たちは、「神奈川県の中に横浜市がある」のではなく、「横浜市の外に横浜に憧れを持つ“神奈川県という田舎”が存在する」と考えている。その“横浜中華思想”が、横浜以外の神奈川県民をウンザリさせるのだ。横浜に長年見下されてきた、神奈川県民の声なき声を挙げると──。
「横浜の人は、『出身はどこですか?』と訊かれると、決まって『横浜(ハマ)です』と答える。普通は県名で答えるものでしょう。なんで『神奈川』と答えないのかと不快で仕方ない。だいたい、いい大人がハマっ子って何ですか?」(厚木市在住)
「地元は横浜から電車を乗り継いで1時間くらい行った山のほうなんですが、遊びに来た横浜の友達は『へー、知らなかった。神奈川にこんなところがあるんだ』と言い放った。海水浴に行く湘南ぐらいしか神奈川だと認識してないんですよ、あの人たちは」(秦野市在住)
「東京に住んでいた横浜出身の友人が、結婚を機に地元に戻ったら『東京は都会でゴミゴミしてて疲れたわ~』と話してて、何てわざとらしいのかとイライラした。横浜のほうが余裕があって洗練されているという意識があるんですよ」(町田市在住)
余談だが、最後の町田市は東京都。しかし横浜市の隣でJR横浜線沿線のため、横浜市民からは“神奈川県民”扱いされがちだ。
※週刊ポスト2016年10月14・21日号