政界引退から20年後にまさかの東京都知事選に出馬し、世間を驚かせた山口敏夫氏(76)。労働大臣も務めた同氏の“復帰”は何が目的だったのか。
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東京五輪組織委の森喜朗会長を辞めさせる、その一点で先の都知事選に出馬しました。森さんが会長になってから、手子の衆(てこのしゅ)による数々の失態、不祥事が重なった。なのに森さんは自ら会長を辞めるでもなし、責任も取らない。森さんが嫌いとか個人的なことではなく、政治家としてみっともない。
オリンピック関連予算は3兆円にまで膨張したとも言われている。森さんは国立競技場を含む、明治神宮周辺の再開発をやりたかった。その利権のために予算が膨らんでいることを都民に知らせたかったら出馬したんです。小池都知事にも森さんの意見は無視するように、よく言っておいた。
誰かが森さんのクビを切らないと大変なことになる。それに当時の招致委員会から国際陸連やIOCに影響力を持つ関係者の会社に2億円以上の送金があった問題について、フランスの検察当局が捜査している。
これらの問題は2020年まで総裁任期を延長して続投を目指している安倍総理もダメージを受けますよ。安倍総理は派閥の先輩の顔を立てて森さんを会長に推挙したが、小泉さんが中曽根(康弘)大勲位に引退勧告したように、安倍総理が森さんに引導を渡すべきだ。
大体ね、森さんは首相で1年しか持たなかったんだから、会長だって2年やれば十分でしょ。
●やまぐち・としお/1940年生まれ。1967年初当選。新自由クラブ幹事長、労働大臣を歴任。
※週刊ポスト2016年10月14・21日号