J-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)市場の好調が続いているが、英国のEU離脱ショックで大きく値を下げたように、今後も海外の情勢次第で大きく売られる局面がありそうだ。そうした際に狙い目となるセクターは何なのか。アイビー総研代表の関大介氏が解説する。
* * *
海外要因で一時的にJリート価格が下落するような場合、狙い目となるのが、外国人の影響が強いセクターの一つである物流系銘柄だ。
中でも、スポンサーが米国系物流大手の日本プロロジスリート投資法人(3283)は時価総額が比較的大きく、外国人投資家の比率が高い。世界的にリスク回避の動きが出た時は、業績がよくても、外国人投資家に売られすぎる傾向があり、他のセクターより割安感が強まる。
物流系では、日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)にも注目したい。同銘柄は三井物産がメインスポンサーの日本初の物流リートだが、日本プロロジスリート投資法人が外国人投資家の売りを浴びると、つられて売られるという特徴がある。業績は好調なので、やはり売られすぎると割安感が出る銘柄だ。
外国人投資家の比率が高く、リスク回避で売られると割安感が出てくるという意味では、ホテル系のジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)もチェックしたい。スポンサーがシンガポール系ファンド会社という外資系の銘柄のため、外国人投資家が売ってくると、価格が下がる局面が結構ある。マーケットが荒れた時に、同銘柄に注目するのもよいだろう。
ホテル系は、インバウンド(訪日外国人)の恩恵も背景に、収益の伸びも期待できる。今後は、外国人観光客もショッピング中心から体験型や滞在型にシフトしていくと思われ、インバウンドの比率がまだ低い星野リゾート・リート投資法人(3287)は、これから訪日外国人を取り込んでいく余地が大きい点でも有望だ。
今後、日銀のマイナス金利幅の拡大が進めば、東証REIT指数が2000ポイントを超える可能性はあるだろう。しかし、今のJリート市場は金融緩和で持ち上げられている相場であることを忘れてはいけない。
2000ポイントを超えたら、利益確定のタイミングと私は考えている。いずれにしても、購入時よりも10%以上、価格が上昇したら売り抜けるという、短期で売却益を狙うスタンスで臨んでほしい。
※マネーポスト2016年秋号