コラム

リートファンド偏重ポートフォリオ 見直しのポイントは

海外リートファンドの人気が高まっているが

 投資信託市場ではリート(不動産投資信託)を投資対象とするファンドの人気が高まっている。純資産残高によるランキングをみると、ベストテンには海外リートに投資するファンドが6本も入っている。そうしたファンドは、分配金が毎月支払われる毎月分配型がほとんどで、個人投資家の分配金へのニーズが強いことが、販売好調での要因となっている。

 しかし、中には、高水準の分配金を維持するために、運用によって得られた収益から支払われる「普通分配金」に加えて、投資元本を原資とする「特別分配金」を支払っているファンドも散見される。分配金を維持するために支払うのであれば問題となってくる。楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏は、「もしリートファンドに偏重したポートフォリオを組んでいるなら見直しも検討すべき」と指摘する。その際の注意点を篠田氏が解説する。

 * * *
 ポートフォリオを見直す際に、留意すべき点は2点。為替リスクと投資対象だ。実は、「ワールド・リート・オープン」といったような名称が付いている場合でも、投資対象は米国のリートが大部分を占めているケースが多い。

 海外の他のリートのマーケットは市場規模も小さい。したがって、海外リートに資金が集中している人は、米ドルの為替リスクを取りすぎている人が多いのだ。円や他の外貨建て資産への配分を考えたい。

 当然、リートから株式や債券といった他の金融資産への移行も欠かせない。これには、国内のリートを投資対象とするファンドも含まれる。株式や債券同様、リートも海外市場の動きに国内市場が影響を受けるからだ。

 乗り換え先としてはリートファンドも含まれるが、『MHAM J-REITアクティブオープン毎月決算コース』と『パインブリッジ米国REITインカムファンドBコース(為替ヘッジなし)』などを検討するのも一考だ。前者が35円、後者が30円と、いずれも分配金の水準がリーズナブルであることに加え、運用内容から鑑みて、今後も安定的に分配金が支払われると予想される。

 海外リートファンドを保有している人で、その高い分配金について不安を感じている人は少なくない。だが、どうしても一定の分配金が欲しいという個人投資家はいる。そうした人に対する、現実的な選択として挙げておいた。

 リーズナブルとはいっても、例えば、『MHAM J-REIT』であれば、年間の分配金の合計額は420円。7月末の基準価額は9882円なので、利回りベースで4.25%となる。世界的な超低金利状況からすると、十分な水準だろう。

 海外リートファンドを購入する人の中には、資産運用を始めたばかりというケースも多い。その中には、売れているという理由だけで、購入している人も少なくない模様。やはり分配金の高さが購入の動機となっているようだ。

 いまは、自分にとって分配金は本当に必要なのか、必要だとすればどれくらいの金額なのか、といったことを真剣に考えるべきときだろう。すでに保有しているファンドや金融資産を考慮して、ポートフォリオの見直しをしてみてはどうだろうか。

※マネーポスト2016年秋号

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン