ライフ

小津、小澤、浅利、蜷川 芸術界の名監督たちの言葉

舞台監督・蜷川幸雄氏の言葉とは

“世界のクロサワ”こと黒澤明監督は、映画の画面の隅々まで計算し、一切の妥協を許さなかった。どんな世界でも、名監督には「言葉」の力があった。芸術界において“名監督”と呼ばれる人物の言葉を紹介しよう。

【小津安二郎 映画監督 1903~1963年】

「広い意味じゃ、惚れないといい仕事ができないですね。こっちも惚れるかわり、むこうにもやはり惚れてもらわないと……」

 生涯独身を貫いた小津は出演女優に惚れることはないかと問われ、このように答えたという。交際の噂が絶えなかった「永遠の処女」原節子をはじめ、小津は女性の美しさを独自のスタイルで切り取った。

【浅利慶太 芸術監督 1933年~】

「居て、捨てて、語れ」

 ミュージカル「劇団四季」の創設者である浅利は、いつもこの言葉で役者を鼓舞した。「居て」とは上っ調子にならない。「捨てて」とは、感情の着ぐるみを捨て、自分の実感に戻れということ。そして何よりも大切な台詞を「語れ」という意味である。

【小澤征爾 音楽監督 1935年~】

「教えるということはとても勉強になる。それを通じて教えられることが多い」

 世界の名だたる交響楽団でタクトを振ってきた小澤。世界一多忙な指揮者と言われるが、その腕は後進の育成のためにも振るわれている。世界最高峰の芸術家は、教えることすら、自らを高める糧としている。

【蜷川幸雄 舞台監督 1935~2016年】

「バカヤロー」

 巨星墜つ。今年5月にこの世を去った蜷川は、稽古現場を「人間の修羅の戦場」と表現した。強い言葉で役者を罵り、時にはモノを投げつけた。しかし、それは愛情表現で、命中しないよう注意を払っていたという。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト