野菜や魚には季節がある。出荷が始まる「走り」、食べ頃の「旬」「盛り」、終盤の「名残り」…。いまの季節に“最旬”となるを「秋刀魚(サンマ)」を楽しむコツを、料理研究家・松田美智子さん監修のもと、紹介する。
「秋刀魚」は読んで字の如し、秋を代表する魚で、体が刀のように細長く、銀色に輝いているのが特徴。近年、漁獲量が減少傾向にあり、“庶民の魚”とは言えなくなりつつあるが、日本人にとって秋刀魚の塩焼きは、この時期の大きな楽しみであることは間違いない。
秋刀魚は良質なたんぱく質と脂質が豊富で、とくにDHA・EPAなどの不飽和脂肪酸とタウリンの含有量は青魚の中でもトップクラス。生活習慣病を防ぎ、肝機能強化、疲労回復など、中高年こそ積極的にいただきたい魚だ。
「秋刀魚は塩焼きがいちばんおいしいんです。新鮮な秋刀魚でしたら内臓もいただくのが旬ならではの醍醐味ですね。内臓にはビタミンA・E、鉄などが豊富に含まれていますし、さらりとした苦味も味わい深いですよね。鬼おろしをたっぷり添えてどうぞ」(松田さん)
〈選び方〉
腹がふっくらと張っていて背が青黒く光っていて、黒目の周りが透明なものを選ぶ。また、口先がちょこんと黄色いものは脂がよくのっている証拠。足が早いため、すぐに食すのがベストだが、保存する場合は必ず頭と内臓を取り除くこと。
〈準備〉
新鮮な秋刀魚が手に入ったら、ぜひ、内臓ごと味わいたい。塩焼きであれば、頭と尾を切り落として2等分にし、塩を振って焼くのが手間が少ない。魚焼きグリルでもすんなりと収まる。
鮮度のよい秋刀魚には細かいウロコがあるので、買ってきたら尾から頭に向かって包丁を立ててこそいで取り除き、頭と尾を落として塩を振り、内臓がだれる前にすぐ焼く。煮魚などにする場合は4等分のブツ切りにすると扱いやすい。
◆秋刀魚の甘辛煮
【1】秋刀魚2尾は頭と尾を落として2等分し、はらわたを出さないように、茶こし等を通して薄力粉を薄くふる。
【2】深めのフライパンにごま油大さじ1を熱して秋刀魚を両面焼く。
【3】しょうがの薄切り1片分、水1カップ、酒1/4カップを加えて煮立て、三温糖大さじ1を入れて弱火にする。
【4】しょうゆ大さじ1を加えて汁気がひたひたになるまで煮て、最後に味をみてしょうゆ小さじ1/2を加え、味を締める。
※女性セブン2016年10月20日号