大波乱の2016年相場だが、個人投資家たちはいかにして相場の波を乗り切り、はたまた呑み込まれてしまったのか。投資歴7年の「戦う個人投資家」さん(20代)が、自身のトレード体験を振り返る。
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今年は、最大900万円まであった資産をすべて溶かす地獄のような年でした……。株式投資を始めたのは、大学生だった2009年。経営学部で簿記や財務会計を専攻していたので、財務分析をしっかりして割安株を買っていくスタイルがうまくいって、600万円以上まで殖やすことができました。
ただし、順調だったのはそこまで。今年に入って、ETF(上場投資信託)投資をメインにして、年初から、日経平均が下がると上がる日経平均インバース(1571)と、原油価格と連動する原油ダブル・ブル(2038)に投資しました。
上げの局面は原油ダブル・ブルが、下げの局面は日経平均インバースが利益になるという算段です。当時は原油安が続いていましたが、「原油はみんな使うし、今の水準は安すぎる」という考えもありました。実際、2月まではこの戦略がうまくハマり、900万円まで殖やせました。
ところが、原油価格の代表的な指数であるWTIが上がってもドル安・円高で原油ダブル・ブルで損することも……。商品をよく理解していなかったのですが、原油ダブル・ブルというのはWTIに直接連動する商品ではなかったんです。
また、2月からは日経平均も反発し始めて、日経平均インバースでも負け。うまくいっていた流れが逆回転し始め、2月は78万円、3月は300万円、4月は24万円、5月は100万円、6月は76万円のマイナスと、資産がみるみる減っていきました。
負けを取り戻すべく注目したのが、4~5月に急騰していたバイオ関連株。遺伝子検査を行なうプレシジョン・システム・サイエンス(7707)に、残りの300万円を使って信用全力で買ったところ、まさかの急落。とうとう残り70万円に……。結局、生活費や引っ越し資金のために、70万円を出金。証券口座に残ったのは9791円で、市場からの退場を余儀なくされました。
今は、もう一度、市場に戻って来るべく、アルバイトをしながら投資資金を稼いでいます。次に挑戦するときは原点に戻って、好業績の割安株、優待株、高配当株などに狙いを絞って投資をしていきたいです。
【PROFILE】東京都在住。専業投資家として今年に入って最大900万円まで殖やすが、その後ほぼ全額を失い、市場から退場。現在の証券口座は9791円。アルバイトをしながら投資資金を貯め、原点に戻って再起を期す。ツイッターは@300kojin
※マネーポスト2016年秋号