ニセモノでビジネスするのは彼の国の特徴だが、当事者たちから見ればこのケースは看過できないだろう。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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以前、中国の空港などでよく見かけた日本語の一つに「バイアグラあります」というのがあった。たいていは粗末な手書きの看板だった。最近はさすがにあまり見かけなくなったが、それでも地方の空港などではまだときどきあるようだ。
こんな看板が出るということはつまり、需要はあるということだ。
あれだけ食品偽造が横行した国の薬を口にするなど、普通の神経では考えられないが、中国で同様の薬を買う日本人は少なくないようなのだ。こうした事情を背景に、日本と中国を往復する出張族の間では「効きすぎて死にかけた」といった都市伝説風の噂も定着していた。
そんな中国で「いかにも」というニュースが話題になっている。
『広西新聞ネット』が2016年9月4日付( 11時23分12秒)で伝えた記事、〈南寧の犯罪者グループが小麦とマルトースからバイアグラを密造 利益は400倍〉である。
事件が発覚したのは現地の警察に密造グルーブが摘発されたためだが、驚いたのはその犯罪グループのリーダーがわずか23歳であったこと。また偽「バイアグラ」利益率だ。小麦とマルトース(麦芽糖)を材料とする薬剤のコストは一粒0.2から0.4元。これが70元から80元で飛ぶように売れていたというのだ。
知らぬは消費者のみということか。都市伝説の真相は「効き過ぎる」のではなく、「効かない」ということかもしれない。