ビジネス

視聴率に新指標導入でも「実態把握」には疑問符がつく

視聴率測定はテレビだけ ネット視聴は含まれない

 ビデオリサーチの視聴率測定が変更されると発表になった。なかでも注目されるのは、新しく「タイムシフト視聴率」と、録画とリアルタイム視聴をあわせた「総合視聴率」という新たな指標が算出されることだ。もっとも早い関東地区では2016年10月から対応し、来年10月には関西地区と名古屋地区へと広げ、2020年にはすべての地区で対応予定だ。求められている視聴「質」測定への道のりは、まだ長そうだ。

「ハッキリ言って時代遅れでしょう。関東地区だとたった900世帯しかサンプルがない。テレビを持たない世帯は対象外だし、本音を言うと視聴率で何が分かるんだ! と思っています。でも、今は視聴率しかテレビを計る指標がないから、思いを押し込めながら数字を上げようと仕事しています」(番組制作会社勤務・30代男性)

 現在のビデオリサーチによる視聴率調査は、関東地区がこの10月から増えて900世帯、関西地区・名古屋地区が600世帯、それ以外も含めて全国で合計6900世帯のサンプリングから測定されている。ビッグデータの有用性が叫ばれる時代なのに物足りないデータだとよく指摘されている。

 しかし、これについてビデオリサーチは10月からの仕様変更発表とあわせて現在の無作為抽出による有用性も訴えている。それによると、ビッグデータは「使う用途によっては優れたデータですが、調査エリアのデータを”あまねく”収集できてはいないので、ある種の偏りが生じる」のだという。

 サンプリング方法と調査精度の問題は、統計の専門家に議論してもらうことにして、リアルタイム視聴率、タイムシフト視聴率、総合視聴率の3本立て測定方法では、知りたいのに調べられない視聴者が多すぎると言われている。

「その番組をきちんと見てくれる人が多いのか、ザッピングでときどき見てくれる人のほうが多いのか、いまの測定方法だとわかりません。そして、テレビ以外のデバイス、タブレットやスマートフォン、PCで見ている人は調査対象から除外されています。いま民放がすすめている見逃し配信も含まれない。測定にスマートデバイス対応の検討もすすめると言っていますけど、対応するのを待っていたら多くの潜在的視聴者を逃しそうで怖いです」(情報番組制作スタッフ・20代男性)

 ここ数年「若者の●●離れ」と言われる事象がいくつもある。一連の若者の●●離れについては、少子化とデフレが進む若者の消費行動を一面的にとらえたものにすぎないと批判も多いが「若者のテレビ離れ」については、本当に離れてしまったといえる調査結果がある。8月末に発表された「情報通信白書 平成28年版」(総務省)にある「主なメディアの平均利用時間と行為者率」というデータを見ると、テレビ離れが明らかだ。

 平日のテレビ視聴時間(リアルタイム)をみると10代が95.8分で20代が128.0分、であるのに対し、30代と40代はそれぞれ142.4分と152.3分も見ている。一方で平日のネット利用時間は10代が112.2分で20代は146.9分にのぼる。30代以上はネット利用時間よりテレビ視聴時間のほうが長い。10~20代にとっては、テレビ視聴よりもネット利用のほうが「当たり前」な行為であることがわかる。

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン