長寿と食生活に密接な関係があるのは誰もが知る常識だが、裏を返せば「何を食べるかによって寿命が縮む」ということだ。
「損失余命」という用語がある。WHO(世界保健機関)など各国の医療機関・団体で使用されている「何らかの行為によって縮まる寿命」のことだ。『それで寿命は何秒縮む?』(すばる舎)の著者・半谷輝己氏が解説する。
「大気汚染や騒音といった環境から、ストレスや性交渉といった生活行為に関するものまで損失余命の研究が進められていますが、中でも食事については、食材ごとの摂取量ベースで算出されつつあります」
そう聞くと「命を縮める食べ物」を早く知りたいところだが、損失余命を知る際には重要な注意点がある。
「数値はリスク面のみを積み上げて算出され、プラスに寄与する要素を考慮していません。そもそも人間は何も食べずには生きられない。多くの食べ物に何らかのデメリットとメリットがあるわけで、損失余命は“食べてはダメ”という短絡的な指標ではないです」(同前)
この前提を踏まえたうえで、どんな食事に、どの程度の損失余命があるとされているのか見ていく。
最近、国際的なニュースになったのが「加工肉」だ。昨年10月にWHOが「加工肉と赤肉(哺乳類の肉のこと。「赤身肉」ではない)の発がん性リスク」について発表して物議を醸した。
「福井県立大学の岡敏弘・教授の研究を基に算出すると、ロースハム1枚で19秒、ジャンボフランクフルト1本で1分14秒の損失余命となります」(半谷氏)