母国で韓国人男性と結婚し、子育て中の在日韓国人女性2人が、韓国政府を相手取り憲法違反であるとして訴えを起こした。訴え出たのは、韓国で暮らす30代の在日3世の女性2人。韓国で子育て家庭に支給される「保育料支援」が、自分たちの子供が満4歳になった今も支給されないのは韓国政府の差別だとして昨年11月、憲法裁判所に訴願を行った(韓国「聯合ニュース」2015年11月17日付)。不支給の決定は日本の特別永住者であること、つまり「在日」であることが理由だという。在韓国ジャーナリストの藤原修平氏が報告する。
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原告2人の法定代理人である法律事務所ロゴスのミン・ヒョンギ常任顧問弁護士は同記事の中で「保育料をめぐり、特別な理由がなく在日同胞の子供だけ排除したのは、憲法に記載されている平等権・保健権・経済権の明白な侵害」と述べている。
ミン弁護士が指摘するように、問題は支援対象から除外される「在外国民」がもっぱら在日韓国人だということだ。
韓国で生活するのに「住民登録番号」は欠かせない。日本のマイナンバーのようなもので、あらゆる公的手続きに必須の記載項目だ。これまで在日韓国人には、この住民番号が付与されていなかった。そのため、保育料支援や保健所の無料予防接種など、様々な支援の対象から外されてきた。それが差別に当たるとの指摘を受け、韓国政府は15年から在日韓国人を含む「在外国民」に、申請により住民番号を付与し始めた。
ところが、政府が別に定めた保育料の「支援対象選定基準」により、「在外国民として住民番号の発給を受けた者」を除外する規定が設けられてしまった。
当てはまるのは日本の特別永住者である在日韓国人くらいで、この規定は政府による事実上の「在日差別」ということになる(*)。
【*日本以外に居住する「在外国民」は、その国の国籍を取得したり、移住前に付与された住民番号を残していたりするので支援対象となる。】