昨年、コアな箱根駅伝ファンの間で話題沸騰となった、ウェブメディア「駅伝ニュース」の面々による“詳しすぎるレポート”が今シーズンも週刊ポストに帰ってきた! 主宰者である「博士」こと西本武司氏と相棒の「マニアさん」が、全国のレース現場を手弁当で回って得た見どころ情報を一挙公開。本気を出した駅伝オタク集団の独自すぎる着眼点を知れば、駅伝をより楽しめることだろう。
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10月15日の箱根駅伝予選会(立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート)で、私たちが最も注目するのは中央大だ。87回連続90回の出場記録を誇る超名門は、6月の全日本駅伝予選会でまさかの予選落ち。
このままでは箱根の連続出場記録が途絶えるのでは──そんなピンチに、藤原正和・新監督は急遽、大改革に着手。なんと、7月に入って主将と副主将に1年生を抜擢したのだ。しかも、主将の舟津彰馬、副主将の田母神一喜ともに、その時点での専門は中距離(800m、1500m)。箱根で約20kmを走れるかは未知数だった。
この荒療治で、空気は変わった。主将交代から約1週間後のホクレンディスタンス網走で舟津、田母神がいきなり自己新をマーク。舟津は“専門外”だったはずの5000mで13分58秒を叩き出し、4年生エースの町澤大雅のベスト(14分2秒)を抜き去った。
「舟津13分台情報」を多摩の合宿所で知った町澤は、その複雑な心境をツイッターに投稿した。
〈後輩の13分台が喜ばしい反面、自分がずっと欲しかったものを先に手に入れられたことへの悔しさと今の自分に対する怒りと焦りで情緒が安定しない。俺も頑張るしかない〉
この投稿の直前までポケモンGOについてツイートしていた町澤の意識に、何らかの変化があったのは確かだろう。箱根駅伝テレビ解説の碓井哲雄さん(中央大OB、神奈川工科大監督)を喜ばせるためにも、町澤の発奮に期待だ。藤原改革の成否は、10月15日に答えが出る。
文■西本武司/1971年福岡県生まれ。メタボ対策のランニング中に近所を走る箱根ランナーに衝撃を受け、箱根駅伝にハマる。そのうちに、同じような箱根中毒の人々とウェブメディア「駅伝ニュース」を立ち上げる。本業はコンテンツプロデューサー。ツイッターアカウント名は「公園橋博士」、相棒は「マニアさん」(アカウント名「@EKIDEN_MANIA」)
撮影■EKIDEN News
※週刊ポスト2016年10月28日号