厚生労働省の調査によれば、ここ30年で子なし世帯が2倍以上に増加し、出生率も1.42人に。未婚、不妊治療、シングルマザー…子供にまつわるさまざまなイシューがあるが、何が幸せで不幸なのか。コラムニスト・辛酸なめ子さん(42才)に聞いた。
* * *
18才から仕事を始め、忙しく過ごしている間に時間が経ち、ごく自然な流れで“未婚”の今にいたっています。親や周りから責められるようなこともなかったし、子供の将来を考えると生きづらい世の中になっていると思うので、今のままでいいかなと思っていますね。
その一方で、SNSやブログなどを開くと、否応なく友達の赤ちゃんや家族風景が目に飛び込んできて、揺れ動く自分もいるのは事実です。昔は年に1度の年賀状くらいでしか友達の家族情報は入って来なかったのに、ここ数年、SNSを通して一年中“幸せの押し売り”をされているような気がします。特に仕事で大変な状況の時にそんな写真を見ると、むなしさを覚えることも。失ったものもあったのかな、と――。
そんな私に、“リアルな世界”では、子持ちの友達がやたら気を使います。妊娠、出産を秘密にされたり、結婚したことすら教えられないと、“独身子なし”に気を使われているようで逆にショックです。SNSでは堂々と公表しているのに…。
考えてみれば、SNSがない時代はみんな別々の道を歩んでいましたよね。それが最近では一斉に“幸せ自慢”をするようになった。中高時代に戻ったかのように、みんなが同じタイミングで同じことをしなければいけないという空気になってきていると感じます。
女の幸せってなんでしょう? 私は人生自体、幸せを実現することではなく、修行だと思っています。“つらい経験は自分が成長する機会”。そう考えると、幸も不幸もないですよね。いい“波動”を出して、人に好かれるように生きていけば、子供がいなくても、最後、孤独で野垂れ死ぬことはないのではないでしょうか。
※女性セブン2016年10月27日号