コラム

市場暴落後に短期リバウンドを狙う戦略を解説

市場暴落後の短期リバウンドを狙う戦略

 株式市場では年に何度も株価が大暴落する局面がある。しかし、そうした局面は逆にリバウンドを狙うチャンスでもある。では、どのような戦略をとればよいのか。市場暴落後の短期リバウンドを狙う方法について、投資情報サイト「株式予報」代表の中原良太氏が解説する。

 * * *
 2016年のここまでの株式市場を振り返ると、何度も大きな暴落局面に見舞われている。年初の日経平均株価は、大発会から6営業日連続安での幕開けとなった。2月からは反発態勢に入ったものの、5月以降は、それまで騰勢が続いていたマザーズ市場のバイオ関連株が総崩れ。また、6~7月はイギリスのEU離脱問題、いわゆる「ブレグジット」により、急激な円高と株安局面もあった。

 このように、短い期間の間に大きな暴落が何度も起きている以上、今後も気を緩めることはできない。例年、秋に暴落局面が訪れるケースは多く、特に今年は11月に米大統領選も控えており、不確定要素は多い。

 それでは、今後起こりうる暴落局面では、どんな投資行動をとるのが勝率は高いのか。私は2000年以降、毎日の全指数、全個別銘柄の株価や騰落率などの膨大なデータを蓄積し、分析している。いわば株式市場の“ビッグデータ解析”で、2000年以降の暴落時のデータを分析したところ、「暴落後のリバウンド」に関する特徴を、いくつか見出すことができた。

 ここで「暴落」の定義は、「東証1部の騰落レシオ(10日間)が50以下となったとき」とした。騰落レシオとは、市場の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の比率から「買われすぎ、売られすぎ」などの過熱感を見る指標だ。値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って算出する。

 暴落局面をはかる指標としては移動平均乖離率やRSIなど、様々あるが、それらのような上昇幅・下落幅を使った指標より、銘柄数で算出された騰落レシオのほうが、シミュレーションの結果、より的確にその後のリバウンドを捉えることができた。

◆短期のリバウンドを狙うならマザーズ銘柄か

 まず、東証1部の騰落レシオ(10日間)が50以下になった日の翌営業日の寄り付きで株を購入したとする。「短期的なリバウンド」を狙う場合は株を買った日を含めて5営業日保有し、その翌営業日の寄り付きで手仕舞いするというシミュレーションを行なった。

 バックテストの期間は2000年1月4日から2016年6月30日まで。この期間で東証1部の騰落レシオが50以下になったのは合計37回あった。大雑把にいえば、年に2~3回起きる暴落局面と考えればいいだろう。

「短期的なリバウンド」の結果を見てみよう。初期条件の通り、購入したら5営業日保有し、翌営業日に売却すると、総取引回数約26万回のうち約17万回で利益が出て、約9万回で損失となった。勝率は約65.24%で、平均利益は6.38%、平均損失は4.43%。利益期待値は2.62%だった。

 これだけでも悪くはない結果であるが、「市場別」で見るとより効率よくリバウンドを狙うことができる。東証1部(66.54%)とマザーズ(66.05%)の勝率がやや高く、マザーズの期待値は5.04%と非常に高い。これは新興市場らしく、まさに「ハイリスク・ハイリターン」ということであるが、そもそも約1週間しか保有しないことを考えると比較的リスクは限定できるので、マザーズ銘柄を狙っていくのがいいだろう。

 また、「暴落日までの過去25日間の騰落率別の勝率と期待値」を見ると、下落幅が大きいほど期待値は高く、勝率も高くなる傾向がある。

 これらのデータを総合すると、「東証1部の騰落レシオが50以下になったら、直近25日間の下落幅が大きいマザーズ銘柄を翌営業日に買って5営業日保有し、翌営業日に売る」という戦略が有効だと考えられる。

※マネーポスト2016年秋号

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