9月14日、警視庁捜査二課と世田谷署の合同捜査本部は神奈川県横浜市に住む自営業の中野真紀容疑者(54才)を詐欺容疑の疑いで逮捕した。被害者は世田谷区在住の会社役員の女性(49才)。被害に遭った時期は2009年11月頃で、被害額は440万円。警視庁によると事件概要はこうだ。
「中野容疑者は被害者女性が、都内の大学附属の私立小学校の入学試験で、不合格となった実子を同校に入学させることを希望していると知るや、“面接の枠が残っています。入学しても金銭的な迷惑をかけるようなことがないと示すためにお金が必要”などと嘘を言い、複数回にわたり被疑者らが管理する預金口座へ、現金合計440万円を振り込ませました」
知人を使って教師役で電話をさせるなど計画的で悪質な犯行だった。
今回の事件で、入学のために要求された440万円。これを「高すぎる」と思ったあなたは、きっと裏口入学には一生縁がないだろう。というのも、幼児教室・小学校受験『アンテナ・プレスクール』の石井至校長も、有名幼児塾の現役社員のX氏も、ともに「安すぎる」と言うからだ。
石井さんは「相場が違いすぎる。超難関有名私立だと数億円、数十億円ということもある」と言う。X氏もこう続ける。
「1年に何人かの親から“裏口入学の話が…”と相談されますが、いずれも400万円程度とかそんな話ではありません。最近の相場は1000万円とか2000万円と聞きます。小学校に入学するためにはお受験塾に通う子がほとんどですが、年間1000万円を超えるところもある。
夏期講習だ、直前講習だ、面接講習だと言って、ちょこちょこお金を請求されて1000万円なんてことはそう珍しくない。だから裏口入学で400万円ちょいなんて、まずありません。ただみなさん、実際にはしない。というのも不景気で共働きが多いからそんなに余裕がある人も少ないし、引っかかる人も少ない」
ちょうどこの時期、ある有名私立校では「ご挨拶」が始まっているという。学校の有力者に文字通り、子供と一緒に「受験します」と挨拶に行くのだが、その場で寄付金をいくらにできるか念書を書く。それは1口○万円の寄付金を何口できるか、と具体的なもの。
ちなみに1口いくらかは学校によって違い、高いところでは50万円、最低2口以上というところもある。コネがなければご挨拶はできず、あるお受験ママは「そこで初めてお受験の土俵に立てる」とこぼす。またこのコネがない人は、紹介者を探すことから始める。もちろん、「お礼」は安くない。
※女性セブン2016年10月27日号