街なかを我が物顔で闊歩する野良猫。ご近所のアイドルになることもあれば、トラブルの原因になることも、福井県の27才会社員からこんなお悩みが届いた。
「近所に野良猫にエサを与える中年の女性がいます。うちの庭がたまり場になっていて、においやフン尿被害で困っています。何度注意してもやめてくれないのですが、何かいい方法ありませんか?」(福井県・れんや、27才・会社員)
このお悩みに、共著に『ペットのトラブル相談Q&A』(民事法研究会)などがある、ペット法学会理事の弁護士・杉村亜紀子さんがアドバイスする。
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野良猫にエサを与えている方からすれば、動物愛護の精神からの行動で、何がいけないの!? といったところかもしれません。でも、中途半端な愛護精神で野良猫にエサを与え続けると、さらに野良猫が集まり、繁殖を助長することにもなりかねません。
◆野良猫にエサを与え続け、慰謝料が発生した例も
“猫の排泄やにおいに困っている”というお悩みは、飼い猫であれば法的責任を飼い主に追及でき、慰謝料の請求もできる事案です。では、野良猫にエサを与えている場合はどうなるのでしょうか。
過去の裁判では、集合住宅である自宅で、野良猫にエサを与え続け、近隣住民にフン尿被害や自動車に傷を付けるなどの損害をもたらした被告に対し、裁判所は、「被告による屋外での猫のエサやりは、段ボールなどを提供し、住みかを提供する飼育の域に達している」として、敷地での飼育禁止や慰謝料(住民1人当たり、5万円または8万円)の支払いを命じました。
この裁判例の重要なところは、野良猫であっても、エサや住みかを提供し続けると、責任を負うことになる点です。ですから、れんやさんの件でも、状況によっては、“猫おばさん”に責任を追及できます。
◆“地域猫活動”ならルールを守らせること!
もし“猫おばさん”が個人ではなく、ボランティアなどの団体の一員として“地域猫活動”をしているという認識ならば、そのルールを理解して行動しなければいけません。
地域猫活動とは、地域住民と飼い主のいない猫との共生を目的とし、不妊去勢手術を行ったり、新しい飼い主を探すなど、野良猫を減らすことを目的とする活動全般を指します。活動をするには、周辺住民の理解が必要で、エサの管理やトイレの設置、さらに排泄物の片づけやトイレ以外の場所に排泄してしまっていないか定期的にパトロールを行うなど、トラブルを防ぐための工夫が必要となります。
もし、れんやさんのいう“猫おばさん”が、何かしらの団体の一員ならば、所属団体に相談を。また、都道府県の動物愛護管理担当部署や最寄りの動物愛護センター、保健所へ相談するのもよいでしょう。
※女性セブン2016年10月27日号