今や「20代の若者の3割が該当する」との調査結果もあるほど、存在感を増しているマイルドヤンキー。地元をこよなく愛し、同年代の友人や仲間とのつながりを基盤に生活する層のことだ。
2017年度の税制改正を巡るニュースが連日報じられる中、こうしたマイルドヤンキーの増殖は、地方交付税制度の弊害によるものだと指摘するのは堀江貴文氏だ。
「地方にマイルドヤンキーたちのある種の“楽園”が成立しているのは、地方交付税交付金によって経済が支えられているからに他ならない。大都市圏で必死に働いた人たちが生み出す富でもって、彼らが休日をダラダラ過ごす大型商業施設が作られているといっても過言ではないでしょう。このいびつな仕組みが破綻するのは目に見えています」(以下、「」内は堀江氏)
堀江氏が破綻を予測するのは、主に2つの観点からだという。1つは地方交付税の財源である税収の問題。現在も国の財政状況は破綻寸前だが、今後、少子高齢化の影響で税収はさらに先細り、地方を支えるための新たな財源の見通しは立っていない。また、「富裕層への課税強化などの議論もあるが、すでに富裕層は海外移住の動きを加速しており、高額納税者の数も減っていくだろう」と分析している。
もう1つは、国の地方に対する「平等主義政策」に大きな問題があるという。堀江氏は、その発想が「50年以上も前に唱えられた『国土の均衡ある発展』の頃と何ら変わっていない」ことを問題視。地方の個性に関係なく、平等にカネをバラまき、平等に投資させ、同じような街に発展させるやり方が、逆に地方の自由な経済発展を阻害する要因になっていると指摘する。
「田舎は不便なところがむしろ良かったのに、平等に便利にしようという発想がそもそもの間違いの始まりだった。これ以上、日本中を『どこも一緒の街』にするのはもう無理です。それなのに、政策を変えようとしない。マイルドヤンキーたちが高額納税者になれるはずがありません。彼らの生活を快適にした経済的負担はやがて甚大になるでしょう」
堀江氏は新著『ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない!』の中で、マイルドヤンキーたちの生き方が抱える問題点について詳しく言及しているが、一方で「彼らに溜まったストレスが今後、どのように国家レベルで爆発するかは誰にもわからない」とも分析しており、その影響力の大きさへの懸念も見せている。
◆堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。ライブドア元代表取締役CEO。東京大学在学中の1996年起業。以後、プロ野球参入やニッポン放送の買収表明、総選挙立候補など次々と脚光を浴びる。現在は、自身が手がけるロケットエンジン開発など様々な事業で幅広く活躍。新著『ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない!』は発売1週間で大増刷。