取材場所に到着するや、iPadを握りしめた男の子が、部屋から勢いよく飛び出していった。「5分だけだから!」と画面に顔を向けたまま話す彼は、『ポケモンGO』の真っ最中。しばらくして無事にお目当てのポケモンを捕獲でき、部屋に戻ってくると、「ゲットできた」と、満足気な笑顔を浮かべて母親の隣に座った。
彼は今、日本一有名な11才の男の子、中島芭旺(ばお)くん。大人顔負けのつぶやきをすることから「小さなからだの哲学者」と呼ばれている。
堀江貴文(43才)をうならせ、安倍昭恵さん(54才)は、「へたな大人の言葉より、よっぽど心に響く」などと評した。
《僕の最大の長所は、1人では何も出来ないこと。それを知っていること。助けてっていえること》
《物事に重さはない。ただ、その人が「重い」と感じている。ただそれだけ!》
芭旺くんが書いた自己啓発書『見てる、知ってる、考えてる』(サンマーク出版)が話題沸騰中だ。
5月に倒れてから5か月。一時は文字さえも読むことができなかったという小林麻耶(37才)は、本をめくってすぐに飛び込んできた、芭旺くんの《自分を大切にしよう。話はそれからだ》という言葉に、「ドキッ。おっしゃる通りです!!!!」などとブログで紹介。妹・麻央の夫、市川海老蔵(38才)もこれに続いた。
失意のどん底にいた麻耶の胸にも届いた芭旺くんの言葉はどうやって紡がれているのか──。
もしも小学校に通っていたら現在5年生。実は彼は学校へ通わず自宅学習をしている。これらの言葉はいつ、どんな時に思い浮かぶのか聞いてみると、「ゲームをしてるとき」と即答。でも特に書き留めることもないから、たまに忘れるという。
「本の3倍は実際に書いているし、その2倍は頭に浮かんでは消えていっていますね。でもそれは、それほど重要じゃないということ」
ちなみにポケモンが好きな理由を聞くとこう答えた。
「ポケモンはその場その場で、得意な分野で闘わせるところが好き。日常生活もそう! ぼくも得意なことをやって生きている」
芭旺くんが学校に行かなくなったのはいじめが原因だった。
「仲間はずれとか…よく覚えてないですね。最初は誰にも相談しませんでした。先生に相談しても相手にしてくれなさそうだったし、親には、自分の子供はいじめられているって面倒な話だって思うだろうなって思って、そのときはママも信用できていなかった。信用できなかった理由はぼくが自分を信じてなかったから。