SNS投稿がもとで非難コメントなどが殺到する「炎上」は、老若男女分け隔てなく襲ってくる。夏休みなど長期休暇のシーズンになると、悪ふざけの写真をSNSで公開し炎上する大学生はもはや風物詩だ。NHKの高校講座「社会と情報」10月13日放送の第11回「ネットワークとコミュニケーション」では、ネット炎上を詳しく解説、予防の方法も伝えていた。これらのカリキュラムには、現実の高校生、大学生には届いていないのだろうか?
「『情報』の教科書を見るとソーシャルメディアや炎上につながる情報の扱いについての簡単な記述はありますが、あまり詳しく教 えていないのが実情です」とITジャーナリストの高橋暁子さんが明かす。
「平成24年度入学者までの場合、情報科目はA、B、Cと3つあり、ネット炎上につ ながる内容についてはCに少し書かれていました。いまは『社会と情報』『情報の科学』の二科目あり、副教材で対応するなど、前よりソーシャルメディアや炎上につながる情報の扱い方について詳しくなっていますが、高校ではあまり熱心に教えていません」
とはいえ、現実にはほとんどの高校生がスマートフォンを持ち、TwitterやLINEなどを利用している。彼らの安全を考えると、すぐにでも対策を講じるのは喫緊の課題のように思える。対策はとられているのか。
「炎上すると、子どもの場合は必ず学校名が一緒に広まるので、私立は相談室を設けるなど熱心なところが多いですね。『炎上しちゃった』と相談に来る生徒も少なくないそうです。公立の学校は、先生方が忙しいこともあって、特別な対策をとれていない傾向にあります。科目としての情報が中学、高校で必修になっていますが、対策方法としてはあまりあてにできません。
というのも、学習指導要領は検討して実施されるまでに4~5年かかります。いまの内容が検討されていたころには、SNSがこれほど生活に大きく関わってくるとはわかりませんでした。それでも必要とされることですから、たとえば東京都の場合は都内の全公立学校の児童・生徒を対象に『SNS東京ルール』を決め教材を配布して、子供たちが段階を踏んでネットやSNSとのつきあい方を学べる工夫をしています」(前出・高橋さん)