日本人の平均寿命は女性が87.05歳、男性が80.79歳で、ともに過去最高を更新した(2015年厚労省調査)。日本人の平均寿命は医療の進歩や食生活の改善などで、今後は約12年で1歳ずつ延びていくと推計されている。
しかし、これはあくまで「平均」の話。いま仮に60歳だとして、あと20年以上生きられると確約されているわけではない。100歳まで生きる人もいれば、明日、脳出血を起こして急逝する人もいるかもしれない。
では、人の寿命は何で決まるのか。アンチエイジングを専門とする元順天堂大学教授で、白澤抗加齢医学研究所所長の白澤卓二氏はこう言う。
「食生活が重要な鍵を握っているのは言うまでもありません。若年や中年の場合は、肥満や糖尿病、メタボなどの生活習慣病を抑えるためにいかに食欲を抑えるかが重要ですが、高齢者になると事情が逆転し、肉や魚、野菜、果物などをしっかり食べる食欲旺盛な人ほど長生きという傾向があります。
マーク・ウオルクヴィスト博士らの研究チームが1999年に台湾に住む高齢者を対象に行なった調査では、食欲の低い群は高い群に比べて死亡率が2倍以上も高いことが分かりました。薬の副作用、孤独感や抑うつなどの心理的要因、家族の状況などの環境要因など、悪影響を差し引いた後でも、死亡率は1.5倍も高かった。つまり、食べることは死亡リスクをも左右するのです」
※週刊ポスト2016年11月4日号