最近は、妻に先立たれた独身男性を「ボツ(没)イチ」と呼ぶ。意外に多いのが「ボツイチライフは愉しい」という声だ。
「妻が亡くなってから始めた登山が楽しくてね。低い山ばかりだけど、もう10か所以上は登った。山以外でも、登山仲間で集まってワイワイ飲んでるよ」
こう嬉しそうに話すのは3年前に妻に先立たれた66歳の男性だ。だが、新しい生活に踏み出すまでにはかなりの時間を要したという。
「ずっと家に閉じ籠もりっぱなし。妻と向かい合っていた食卓にひとりで座るのが寂しくて、1日何も食べないこともあった。掃除や洗濯も億劫になり、部屋も散らかりっぱなし。友人がそんな私を見るに見かねて、登山に誘い出してくれた」
家族問題評論家の宮本まき子氏がいう。
「ほとんどの男性が、奥さんを亡くすと深く落ち込みます。でも、何かのきっかけで前向きになり、人生を満喫する人も多いんです」
八洲学園大学教授で家族問題評論家の池内ひろ美氏が「立ち直りやすいタイプ」をこう分析する。
「意外に思われるかもしれませんが、愛妻家だった方のほうが“第2の青春”を謳歌される傾向があります。ずっと妻を愛してきたことへの自信があるからでしょう。しばらくすると妻に頼りきりだった生活を離れ、自分から新たなコミュニティに飛び込むなど、楽しみを上手に見つける人が多い」