9月30日、日本最北端のデパート、西武旭川店(北海道・旭川市)が閉店した。同店最後となる物産イベント「全国うまいもの大会」は多くの買い物客で盛り上がり、感極まって涙する人も。ここだけではない。今年だけでそごう柏店、西武春日部店など4店舗が、来年には三越千葉店や堺北花田阪急など、5店舗が閉店を予定している。
苦戦を強いられているデパート業界だが、日本全国各地域で独自のデパート文化が築かれてきた。まずは関西。
「関西人の私たちにとって阪急はどこよりもあか抜けて日本一洗練された場所。それは子供の時から今まで変わりません」。
そう目を輝かせるのは京都在住の主婦・井沢良江さん(仮名・47才)。
2015年度の百貨店調査店舗別売上ランキングを見てみると伊勢丹新宿本店は約2724億円とダントツの1位なのだが、2位に名乗りをあげたのが阪急うめだ本店(約2183億円)。ベスト5を見ると、3位西武池袋本店(約1900億円)、4位三越日本橋本店(約1683億円)、5位日本橋高島屋(約1366億円)と、東京のデパートが並んでいるので、阪急の健闘ぶりがうかがえる。
鹿児島の山形屋もすごい。東北の復興を支援する『東北6県味と技展』は1週間で5万人を動員。九州の中では、1平方メートルあたりの売り上げトップをほこっている。
また、岡山をはじめとして四国・中国地方に8店舗を展開する天満屋も年配者をはじめとしてファンが多い。倉敷店では夏は期間限定で世界中の水生生物と触れ合える水族園を作るなど家族向けの楽しい企画が魅力だそう。
茨城で少女時代を過ごしたオバ記者こと野原広子(59才)は地元でいちばん大きなデパートの思い出は今でも鮮やかに輝いているという。
「私の地元は土浦市内から車で1時間くらいの田舎町だったから駅前にある京成デパートは、私に“文明”を教えてくれた場所。弟と扇風機を取り合い、蚊帳を吊って寝ていた10才の私は、エスカレーターもエレベーターもデパートが初体験。もちろん、初デートもデパート。ちょっと年上のボーイフレンドを前にナイフとフォークを初めて使って、ライスってフォークの背にのせるのかしら…なんて悩んだのもデパートでしたねぇ」
伊勢丹に代表されるような日本の最先端がつまった東京のデパートと、家族で行って楽しむ地方にあるデパートはまたちょっと意味合いが違う。しかし、共通しているのは、東京であろうがなかろうが、デパートは女性にとってこうも格別な存在ということ。
※女性セブン2016年11月3日号