今季の大谷翔平(22、日本ハム)の活躍は、球界の大物OBたちも高く評価するものだ。本誌・『週刊ポスト』10月7日発売号では、大谷の来季年俸はいくらが適正かを分析していったが、球界OBたちはどんな“査定”をするのか、聞いていった。
カミソリシュートで巨人キラーと呼ばれた平松政次氏は今季の大谷の年俸2億円を「安すぎる」と断じる。
「私の現役時代も怪物はたくさんいたが、165キロを投げて、しかも制球力もあるんだから規格外です。今季もシーズン途中で右手のマメをつぶしていなければ、沢村賞候補だったでしょう。投手に専念すれば20勝、打者に専念すれば山田哲人(24、ヤクルト)、柳田悠岐(28、ソフトバンク)のようにトリプルスリーが狙える。今季が投手として1億、野手として1億という評価額だったとすれば、来年は両方3倍にして年俸6億円でも安いかもしれないね」
辛口評論で知られる江本孟紀氏も、同様に「6億円でも安いくらい」と評す。
「日本ハムの優勝に対する貢献度からいえば最低でも3倍でしょう。本来、選手の査定は成績がベースになるもの。その点、大谷は投手としても打者としても規定(投球回数・打席)に達しておらず、打率や防御率のランキングに名前が出てこない。それなのに年俸をそこまで上げていいのか、というケチをつけられないこともないが、とにかく誰が見ても化け物という活躍ですからね。
大谷が投手に専念すれば中4日で回して40勝はできると思う。中3日でも潰れないのでは、と思わせるほどの体力もある。打者に専念したら? ホームラン50本以上打てるんじゃないか」
一方で、「もちろん素晴らしい選手だが、今のままでは中途半端」と、辛めに評価するのは、球界のご意見番こと広岡達朗氏である。
「顔もいいし、背丈もある。人気が出て当然でしょう。ただ、規定に達していない以上、本当の二刀流といえるのかどうか。165キロもバットに当てられている。教えられる指導者がいなくて素質だけでやっているから、球に伸びがないのでしょう。それにしても、二刀流で大活躍させる周りの他の選手が情けないですよ。
そもそも、今の選手の年俸はみんな高すぎる。投手なら20勝を3年続けて初めて大金を手にできるくらいでちょうどいい」
たしかに、“年俸を上げすぎて翌年の成績が全然振るわない”という例は少なくない。ただし、大谷の場合、今後はメジャーとの争奪戦が視野に入ってくることを忘れてはならない。
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年11月4日号