コラム

お金のしくじり 「過去にこだわって失敗」編

過去にこだわったあまり失敗した実例2つ

 これまで1万世帯を超える家計を診断してきた「家計の見直し相談センター」の藤川太氏によれば、“マネー失敗者”たちの「しくじり」には共通のパターンがあるという。その1つが「過去にこだわって失敗」というもの。「これまで払ったお金がもったいない……」とこだわって、損失を拡大させてしまう失敗はよくあるケース。そんな失敗に陥った2人の例を、藤川氏が紹介する。

 * * *
【過去に加入した保険をどうしても解約できないEさん(女性・40代=当時)】

 かつて国内大手生保で勧められるがままに加入した夫の生命保険を見直したいと相談にきたEさん。これまで支払った分と今後支払う予定の保険料を合わせると総額1200万円以上に上るため、「必要な保障に絞り込み単価の安い保険会社の商品に見直すことで、この先数百万円の節約につながる」とアドバイスしました。しかし、Eさんはまったく実行に移そうとしません。理由を聞いて唖然としました。

「解約しようと思ったんですが、今まで何百万円もかけてきたのがもったいない」

 これが貯蓄性の高い保険であれば、まだわかります。しかし、Eさんの夫の保険はほとんどが「掛け捨て」タイプで、万が一亡くなったりしない限りは戻ってきません。それよりも今後払い続ける保険料の方がよほどもったいないのに、結局、Eさんは見直しを実践しようとしませんでした。

【塩漬けになった株をなかなか損切りできなかったFさん(女性・60代=当時)】

 夫の退職金などを元手にした株式運用で1000万円以上の含み損を抱えた主婦のFさんが相談に訪れました。「株価5000円で買った株がいま2000円台に下がったままで“塩漬け”になっています。どうしたらいいでしょうか」といわれたので、「いったん売却して損切りしてもいいかもしれませんね」とお伝えしました。すると「それはもったいないので、株価が5000円まで戻ったら売ります」とおっしゃいます。

 そこで「株価が下がったのは下がるだけの理由があったからです。いま手元に同じお金があったら、いろいろな選択肢があるなかでその株を買いますか?」と聞くと、「……いえ、買いません」とようやく理解してくれました。保有株を売って他の銘柄に乗り換えることを決意し、Fさんは塩漬け株の呪縛から逃れることができました。

【まとめ】
・過去のコストにこだわっても意味がないのに、もったいないから動けない。

・資産運用で最も大切なのは将来のお金を殖やす(もしくは将来の損失を抑える)こと。現状と将来を見通して、Fさんのようにコツをつかめば切り替えは可能。

※マネーポスト2016年秋号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
沖縄を訪問された愛子さま(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
天皇ご一家が“因縁の地”沖縄をご訪問、現地は盛大な歓迎ムード “平和への思い”を継承する存在としての愛子さまへの大きな期待 
女性セブン
TBS田村真子アナウンサー
【インタビュー】TBS田村真子アナウンサーが明かす『ラヴィット!』放送1000回で流した涙の理由 「最近、肩の荷が下りた」「お姉さんでいなきゃと意識しています」
NEWSポストセブン
バスケ選手時代の真美子さんの直筆サイン入りカードが高騰している(写真/AFLO)
《マニア垂涎》真美子夫人「バスケ選手時代」の“激レアカード”が約4000倍に高騰中「夫婦で隣に並べたい」というファン需要も 
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン