クライマックスシリーズでも投打に活躍した大谷翔平(22、日本ハム)は、かねてからメジャー志向が強い。来年のオフにもポスティングシステムを通じてのメジャー移籍があるといわれている。
MLBの最高年俸はレッドソックスのD・プライスの7年総額2億1700万ドル(約225億円)。ドジャースのエース、C・カーショーが7年2億1500万ドル(約223億円)で続く。そうした大型契約を結んでいるのは、いずれも先発ローテーション投手だ。
「大谷は先発として起用できるだけでなく、打撃も計算できる。DH制のアメリカン・リーグよりも、投手が必ず打席に立つナショナル・リーグの球団に高く評価される可能性がある」
そう語るのはMLB研究家の福島良一氏。実際、メジャー球団で気になる動きを見せているのが、日本ハムが2008年から業務提携を結ぶナ・リーグのサンディエゴ・パドレスだ。
「パドレスでは今季、控えキャッチャーのクリスチャン・ベタンコートを抑え投手として2試合に起用。無失点の好投を見せたベタンコートは来季、投手兼捕手の“二刀流”で使われるとみられています。提携チームの日ハムで大谷が成功していることを参考にしたそうですが、パ軍が大谷を迎え入れる予行演習ともいわれています」(福島氏)
今年のナ・リーグのプレーオフでは、サンフランシスコ・ジャイアンツのエース、バムガーナーが代打起用されて話題になった。
「MLBのロースター(出場選手枠)は25人しかいないため、代打に送られる投手は少なくない。ナ・リーグのチームが大谷を狙っていても不思議はない。
田中将大がヤンキースに移籍した際の契約は7年総額160億円で、年俸22億円換算だったわけですが、大谷はこれを上回る水準になるのではないか」(スポーツ紙デスク)
福島氏は、大谷につく“値段”について「8年総額200億円、あるいは6年180億円。年俸換算で約30億円あたりの水準なら獲得に興味を示すMLB球団は複数ある」と見ている。
つまり、大谷の活躍には「年俸30億円分」の価値があるということだ。メジャー流出を食い止めるには、そのくらいを用意する必要があるとすると、「日ハムの選手の総年俸は25億円くらいが上限」(球団関係者)というなかでは厳しいのか。ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏はこんな言い方をする。
「投手としても打者としても非凡な大谷ですが、大谷が大谷であり続けるには、二刀流であるべき。メジャーに行ったら、二刀流を続けられるかはわからない。だから、日本に残ったほうがいいんです。それが大谷にとって最適な選択肢だと思いますよ」
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年11月4日号