今の季節に“最旬“となる「さば」は、スズキ目サバ科サバ属の魚。名の由来は、群れをなすので「多(さわ)」から転じたとする説や、斑入りの魚を「斑葉(いさば)」と呼ぶことから、“い”が略されたという説などがある。
サバ属には真さばとごまさばの2種があり、真さばは背に“く”字が連続する模様が特徴で、“秋さば”とも呼ばれるように9~11月が旬。昔から庶民の魚として親しまれている。江戸時代には七夕の前後に諸大名が将軍家へさばを献上する習慣があり、これがのちにお中元の習慣になったとも。
DHA、EPA、ビタミン各種、美肌や消化器の機能を上げるナイアシンなどが豊富で、血合いには鉄分、カルシウムもたっぷり。「さばの生き腐れ」といわれるほど足が早いため、生食には不向きだ。
選び方としては、身が大きく張りがあり、斑紋が鮮明で目に濁りのないものを選ぶのがコツ。腹の部分がやわらかいものは鮮度が落ちている証拠なので避ける。購入したらすぐに内臓などを除き、その日のうちに食べきるのが理想だ。料理研究家の松田美智子さんが、さばの魅力についてこう話す。
「さばを三温糖で酢じめにすると、こっくりとした味わいのしめさばになります。もちろんそのままでもおいしいのですが、ぜひフライパンソテーもお試しを。ふっくらとさっぱりと、さば特有のクセも和らいで、新たなおいしさです」(松田さん)
◆さばの下ごしらえ
◎三枚におろす
【1】1尾は、頭と尾を落として内臓をしっかり取り除く。
【2】半身2枚と中骨の三枚におろす。
【3】腹骨をすき取る。腹骨に沿ってそぎ切りにする要領で包丁を入れる。
◎さばのしめ方
【1】下ごしらえで三枚におろした真さば1尾分(2枚)はバットに入れ、それぞれに三温糖大さじ2をまぶして15~20分冷蔵庫に置く。
【2】塩大さじ3ずつをまぶし、さらに15分、冷蔵庫に入れてしめる。
【3】 【2】を酢水(10%)塩で三温糖を振り洗いし、バットに身を上にしておく。
【4】すだち2~3切れと5cm長さに切った昆布を【3】にのせる。厚手のペーパータオル(『リード』などの不織布が最適)をかぶせ、米酢約1/4カップをまんべんなくかける。
【5】最低30分、冷蔵庫で寝かせる。途中、上下を入れ換える。
◆しめさばのソテー
【1】しめさばの半身は半分に切る。あらかじめ温めておいた魚焼きグリルでこんがりと焼く。
【2】さらにあさつき適量を切って敷き、その上に【1】をのせる。
※女性セブン2016年11月10日号