今では当たり前となった冬の定番アイテム・ヒートインナー(※発熱機能のある肌着全般)。1996年頃、女子高校生の“ババシャツ”ブームから始まり、2003年にはユニクロ「ヒートテック」が販売を開始。2011年には販売枚数1億枚を突破(肌着以外のアイテム、海外売り上げ含む)した。通販のベルメゾンが8000人を対象に行った調査によると、ヒートインナーは65.8%が所有しているという。
近年のヒートインナーは、「セカンドスキン」とも呼ばれ、肌に直接触れるだけに暖かさだけではなく、肌ざわりも重視している。天然素材が肌に良いと考える消費者(特にシニアや肌トラブルのある人)が一定数いることや、従来の「薄・軽・暖」ではなく厚手のインナーを求める消費者に応えた『スゴ衣・天綿』(ワコール)など、暖かさ以外の利点も重視されている。
そうした状況がある中、前出・ベルメゾンが416人を対象に実施した別の調査によると、女性の約35.1%、男性の24.5%、全体の29.8%はヒートインナーでかゆみを感じているという結果も出た。それを反映してか、購入時に重視する点で「着心地のよさ」(65.4%)は、「価格」(71.9%)に次ぐ2位に。3位の「暖かさ」の59.4%を上回った。
「暖かい」以外のニーズも求められるヒートインナーだが、その傾向に対応した商品の一つが無印良品の「コットンウールストレッチあったかインナー」。これは天然のコットンにウールを10%入れて、保湿性を強化。タートルネックシャツはネック部分を綿95%にし、さらに肌ざわりの良さを目指した。また、今回各種調査を発表したベルメゾンの「Hotcott」は、「天然素材である綿」を用い、柔らかく、水分を吸い発散し、静電気がおこりにくいという綿の特性が発揮される。同社によると、「着心地がよいのはもちろんのこと、肌に余計な負担をかけず、かゆみの原因を軽減してくれる」とのこと。
アオハルクリニック院長の小栁衣吏子先生は、肌にトラブルのある人は、保湿など十分な肌ケアを心がけた上で、さらにインナー選びも見直すよう呼びかける。
「トラブル肌の人はもちろん、そうでない人も、インナーは〈通気性が良いもの・静電気が起きにくいもの・毛羽立ちがないもの・清潔なもの〉を身に着けることがお勧めです。毛羽立ちや静電気は肌への刺激となり、酸化した皮脂や汗はかゆみなどの原因となりますので、インナーはこまめに洗うようにしましょう。また着心地の良さを感じられるインナーを選ぶことも大切です。ストレスが高まると肌は刺激に敏感になってしまいます。経験値として、私も患者さんもやはり天然素材のインナーは良いと感じています」