2013年に就任した韓国・朴槿恵大統領は、新たな付加価値や経済成長の原動力を生み出す「創造経済」を掲げたが、国家財政は悪化の一途だ。
1997年に11.9%だった国家債務比率は20年間で40%を突破した。朴政権になってからの4年間で国の負債は200兆ウォン(約18兆5000億円)増加した。
長期失業者は1997年のアジア通貨危機(※注)以来の最高水準となり、青年失業率は12.5%と過去最悪を記録。希望を失った若者の間では「ヘル(地獄)朝鮮」との言葉が流行する。見えてきたのは、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれて世界から“経済途上国”の烙印を押された「国屈」の再来である。
【※注:1997年にタイを震源として、インドネシアや韓国などに波及した深刻な金融危機。通貨暴落が発生し、IMF(国際通貨基金)が韓国やインドネシアに介入するに至った】
韓国社会に詳しいジャーナリストの室谷克実氏はこう語る。
「韓国は現在、アジア通貨危機、リーマンショックに続く『第三の国家破綻』の危機に直面している。韓国経済は財閥系企業が牛耳り、超ワンマン経営者がやりたい放題で君臨。番頭役として経営を補佐する人間がおらず、トップが一度経営判断を誤ると一気に坂道を転げ落ちる。そんな歪な社会構造が韓国経済を窮地に追い込んでいる」
韓国が凋落する一方、日本企業の動きは活発だ。新日鉄住金や三菱重工業を筆頭に日本の鉄鋼、造船、海運など主力産業は産業再編を加速し、韓国に奪われたシェア奪回に燃える。
一時は韓国企業に席巻された自動車、電子産業でも、日本独自の「技術力」で巻き返している。トヨタが世界1位に君臨し、ソニーがエレクトロニクス分野で5年ぶりの黒字に転換するなど、明るいニュースが多い。今後の韓国は、「日本依存」を強めると産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が予測する。
「自前の技術力がないことを自覚する韓国は、日本企業との合弁会社の設立を進めている。住友化学と韓国企業の合弁会社『東友ファインケム』は大きな成果を挙げ、東レの素材部門も韓国に大規模投資している。日本の技術を取り込んで新しい産業を育成する、韓国お得意の手法が繰り返されている」
日本への反発と擦り寄りでぶれ続けるのも、自国に技術力という芯がないからなのだ。
※週刊ポスト2016年11月4日号