国際情報

全中国が泣いた病苦の小学生の作文 祖母の老後を心配

難病の小学生の作文に全中国が泣いた(写真:アフロ)

 人を想う気持ちにこそ人は心を動かされるのかもしれない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
「大きくなったら、私は絶対にお祖母さん孝行して苦労をさせません」

 中国でいま“もっとも悲しい作文”と呼ばれる小学生の作文が話題になっている。『中国新聞網』が10月10日付で記事にした。きっかけは四川省の小学校に通う生徒の書いた作文を、教師が思い余ってネット上に上げてしまったことだという。

 作文を書いた佳佳ちゃん(9歳・仮名)は現在、56歳のお祖母さんと暮らしている。父親が傷害で逮捕され、母親が育児を放棄して出て行ってしまってから祖母に引き取られた。

 佳佳ちゃんはいま再生不良性貧血という重い病気を抱えているが、それが発覚したのが1歳の時だった。当時から佳佳ちゃんはずっと、40日毎に100ミリリットルの輸血を続けているのだが、育ての親である祖父母はともに高齢のために自らの血を与えることはできず、毎回輸血のために1000元(約1万5500円)の費用がかかっているという。

 佳佳ちゃんはいま祖父母にそれほど収入がないことを知っている。祖母たちが金策に走り回っているのに心を痛めていて、作文の最後にこう綴っている。

〈私の病気はお祖母さんにたくさんの負担をかけている。お祖母さんは何の見返りもないのに、恨み言もなく私のためにがんばってくれています。その姿を見ていると、私は時々自分の病気を本当に憎くなります。本当に早く病気がよくなってお祖母さんを楽にしてあげたい。そして楽しい老後を過ごしてほしい〉

 作文が紹介されてからの10日間で、3万元(約46万5000円)を超える寄付が寄せられたという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
チェーン店ではない昔ながらのレトロな喫茶店は日本の若者だけでなくインバウンド客からも人気を集めている(写真提供/イメージマート)
インバウンド客が行列をつくる「レトロな喫茶店」 マスターが悩まされる支払いトラブル「ドルしかない」客に「コンビニでおろしてきて」と伝えても「十中八九、戻ってこない」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
事件は、琵琶湖からほど近い滋賀県長浜市の閑静な住宅街で起きた(時事通信フォト)
「死んじゃうんじゃないの、なんて冗談を…」裁判所事務官の“黄色い家”の冷凍庫から女性遺体 証言で浮かび上がった“奇妙な家族関係”《事件の端緒はある夫婦の遺書》
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
会見中、涙を拭う尼僧の叡敦(えいちょう)氏
【天台宗僧侶の性加害告発】フジテレビと同じ構造の問題ながら解決へ前進しない理由とは 被害女性への聞き取りも第三者の検証もなく、加害住職の「僧籍剥奪せず」を判断
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
生活を“ふつう”に送りたいだけなのに(写真/イメージマート)
【パニックで頬を何度も殴り…】発達障害の女子高生に「生徒や教員の安心が確保できない」と自主退学を勧告、《合理的配慮》の限界とは
NEWSポストセブン
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン