テレビ番組の『この差って何ですか?』(TBS系)が、日本全国の100歳以上のご長寿が普段何を食べているかをアンケート調査したが、ご長寿の人々は「豚肉」(1位)、「鶏肉」(3位)など肉類を好んで食べていた。ただし、肉ばかり食べていれば寿命が延びるということではないようだ。地方独立行政法人・東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長が語る。
「高齢者の場合、魚はよく食べているが、肉の比率が少ない。魚は十分食べているから、カロリー不足を改善するために肉を食べましょう、ということ。魚の脂は不飽和脂肪酸で、肉の脂は飽和脂肪酸です。それぞれ違う特徴があり、双方を摂取したほうがいい。魚をやめて肉ばかり食べろということではないのです」
武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森幸男所長は、1983年から30年間にわたって世界保健機関(WHO)の協力を受け、世界25か国61の地域の長寿地域や短命地域で、その地域の人々が何を食べているかを調査してきた。その結果、次のことがわかったという。
「日本が世界トップの長寿国なのは、主な死亡原因とされる心臓病(心筋梗塞)が諸外国に比べて少ないためです。
心筋梗塞の原因はコレステロールですが、日本人のコレステロール値は諸外国の平均を下回っている。なぜ低いのかというと、米を主食にしていたからだと考えます。米は脂肪が少なく、カロリーが摂れる。
もう一つの理由は、日本人は魚をたくさん食べるから。魚にはタウリンが多く含まれていて、高血圧や動脈硬化の予防になるとされています。また、魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれており、これは血液をサラサラにする効果もあります。これにより、動脈硬化になりにくかったということです」(家森氏)
※週刊ポスト2016年11月11日号