10月初旬、東京・幕張メッセに未来を変える最新技術が集結した。52年の歴史を持つアジア最大級の家電見本市「CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン)2016」である。
参加企業648社、来場者数14万5180人は、昨年を大きく上回った。これまでの推移は、リーマンショックの2008年から右肩下がり。2010年代に入ると、韓国をはじめとした海外メーカーの急成長による国際競争の激化で日立など国内の大手電機メーカーが相次いで出展を見送り、昨年は参加企業がピーク895社の6割近くに。来場者数も過去最低を記録していた。
「V字復活の理由は、開催テーマをこれまでの『IT・エレクトロニクス』から、近い将来日本の技術力が牽引役になると期待される『IoT(あらゆるモノがネットにつながる技術)』にシフトしたことです。これにより、三菱UFJフィナンシャル・グループやJTB、セコムなど、家電以外の業種から参加が増え、次代を先取りした展示に多くの人が惹きつけられたのです」(ITジャーナリスト・西村健太郎氏)
昨年出展を見送ったトヨタ自動車も大ブースで対話型のミニロボット「KIROBO mini(キロボミニ)」などを展示。スマホで操作するこのロボットは、人間の表情を読み取り、感情を推察して会話する。
4年ぶりの参加となった日立製作所も、一人乗りの自動運転車「ROPITS」を投入し、多くの見学者を集めた。携帯端末の地図上で指定した地点に向かって、自動で歩道を移動。距離センサーと複数のカメラが、歩行者や路面の凹凸をキャッチし、障害物を避けながら目的地に到着する。
これらの最先端技術が花開けば、ものづくり大国ニッポンが輝きを取り戻す日も遠くない──。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2016年11月11日号