各球団が来シーズンの戦力を整えるための動きを本格化させている。日本シリーズが終わると本番を迎えるのがFA市場だ。権利を行使する選手は、シリーズ終了から1週間以内に行使の宣言を行なう。
「例年、ポストシーズンを勝ち進んだチームほどストーブリーグへの備えが手薄になり、補強が思うようにできず連覇が難しくなるといわれています。
その点、今年は巨人やソフトバンク、阪神といった“金満球団”が揃って優勝を逃し、FA市場は近年にない活況を呈すと見られています。加えて最下位に沈んだ中日が巻き返しを期しての大型補強に走るという見方や、楽天の星野仙一・球団副会長がFA戦線に積極的との観測もあり、注目選手をどこが獲得するか、非常に流動的な状況です」(担当記者)
ここ数年なかった活況が予想されるストーブリーグの中心にいるのは、巨人だ。
今季の巨人はセ・リーグで広島の独走を許した。7月に東京ドームでの阪神戦を観戦に訪れたナベツネこと渡辺恒雄・前球団最高顧問は、「これ(低迷)はヨシノブ(巨人・高橋監督)の責任じゃないからな。フロントだよ。こんなに補強もせずに勝てといっても無理だろう」とシーズン半ばにしてオフの大補強断行を宣言した。
「今の巨人で決まっているレギュラーは、野手では坂本(勇人、27)と長野(久義、31)、投手は菅野(智之、27)くらい。戦力の総入れ替えもあり得る状況です」(球団関係者)
移籍市場の本格化に先駆けて、巨人は外国人選手のアブレイユ、ガブリエル、メンドーサ、ペレスなど20人以上を戦力外として切り捨てた。ただでさえ豊富な資金力に、より一層の余裕を持たせてFA戦線に臨もうという本気度が透けて見える。
※週刊ポスト2016年11月11日号