ペットを飼う際に、気をつけなければならないのが、避妊や去勢。しかし、23才の女性から、こんなお悩みが届いた。
「先日、友人から猫を譲り受けました。まだ3か月の女の子です。避妊手術をすべきかどうか迷っています。病気でもないのにかわいそうで…。避妊のメリット、デメリットを教えてください」(茨城県・KT、23才・医療事務)
そんなお悩みに、小学館ジュニア文庫『動物たちのお医者さん』の構成ほか、多数の著書を持つ白金高輪動物病院総院長・佐藤貴紀さんがアドバイスをする。
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“自然のままでいさせてあげたい”などの意見もありますが、飼い主が子供を望まなければ、私は、猫の健康維持の観点から、避妊・去勢手術の検討をおすすめします。とはいえ、手術にはデメリットがあるのも事実。いい面と悪い面の両方を知って判断してください。
猫の避妊・去勢手術は、オス・メスともに約6か月で行うのがベスト。ただしこれは目安で、初回発情の前に手術するのが適切とされています。発情の時期は個体差があるので、かかりつけ医に相談を。手術のメリットとしては、次の2点が挙げられます。
【1】病気を予防できる
乳腺に腫瘍ができる“乳腺腫瘍”は、猫の場合、約9割が悪性のがんです。経験上ではありますが、切除が遅くなれば、ほぼ転移します。しかしこの乳腺腫瘍は、避妊手術で予防できます。これが最大のメリットであり、多くの人が避妊手術を選ぶ理由でもあると思います。
【2】交配を防ぎ、発情によるストレスを減らせる
猫の場合、環境にもよりますが、最低でも年に1度、発情期を迎えます。発情期になると、落ち着きがなくなり、食欲も落ちてストレスに。しかし、避妊・去勢によってこのストレスも減らせます。
一方でデメリットとして、主に次の2点が挙げられます。
【1】太りやすくなる
性行動の減少により運動量が減ると、代謝が落ちます。特に室内飼いだと、もともとの運動量も少なく、糖尿病、心臓病などのリスクが高まります。そのため、たくさん遊んで運動をさせたり、食事管理が必要になります。
【2】麻酔のリスク
手術の際、必ず通らなくてはいけないのが麻酔のリスクです。全身に異常のない場合でも、1000匹に1匹が麻酔が原因による悪影響が出ています。当たり前のことですが、手術は信頼できる病院を選びましょう。
最終的に避妊・去勢手術をするかしないか、どこの病院にするかを決めるのは飼い主です。正しい知識を学び、リスクの少ない環境を選択してあげてください。
※女性セブン2016年11月10日号